【土曜日 12時56分】
土曜日の午後、突然の来訪だった。
家で1人を満喫していた俺は、少し不機嫌になりながら玄関の扉を開ける。
槌
「あれ?裕樹くん1人なの?真奈美は?」
杉本彩はそう言いながら、勝手にリビングのソファーに座った。
ゆるいウェーブのかかった長い髪を掻き上げ、まるで自分の家のようにくつろぎ始める。
近所に住み、近しい親戚でもある彩は、豪快で、自分勝手で、押しが強くて気分屋で、、、優しくて少し大人しい母親と 血が繋がっているとは とても思えない性格をしている。
服装や見た目、仕草だってそうだ。
乳房の膨らみが見えそうなほど 胸元の開いたブラウスなど、母は絶対に着ないだろう。
足の付け根までスリットの切れ上がったスカートで、下着がチラチラと見えるくらい豪快に足を組んでいる。
理想的な母親像そのものの母に対して、まるで熟練の夜の蝶のようだ。
俺は、彼女が苦手だと思っていた。
意識的に避けていた。
そして今日、その理由を 俺は初めて理解させられる。
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