二階の掃除に、一階の掃除。
「リビングだけでもルンバ買おうかな」
真実は、掃除を終えるとリビングのソファーに座り込んだ。
リビングの向こうは、全面解放のガラス戸になり裏庭に通じていた。通りに面した玄関前は車が止められるスペースになっていて、L字に折れたリビング側は、植木で通りから見えなくなった空間になっていた。
(あーゴミ出しの日だったわ)
真実は立ち上がると、裏庭に置いたゴミ袋を2つ持つと通りにでた。
「重たいわ」
独りで嘆きながら、真実は通りの坂道を下り、角のゴミ置き場に向かった。坂道の上まではゴミ収集車が来てくれず、道の曲がり角までゴミ袋を運ぶ必要があった。
朝とはいえ真夏の暑い太陽、マスクをしての重いゴミ袋。
真実が汗をかきながら運んでいると、
「おはようございます」
後ろから挨拶された。
振り替えると、向かいの家の少年がいた。
「おはようございます」
真夏は返事を返した。少年といっても、18歳。30台の真夏から見れば子供だが、確か今年希望の大学に落ちて浪人生のはずだった。
「あ、あの、持ちましょうか」
細身の大人しそうなどこにでもいそうな男の子、北原明夫は真実のゴミ袋をひとつ掴んだ。
「ごめんね、ありがとう」
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