翌日出勤して夜勤との伝達で、若い看護士達がヒソヒソ話をしていた。
どうも、私の担当の病室は問題のある患者ばかりの様だった・・・。
一部屋は認知症患者ばかり、もう一部屋はある意味元気な老人ばかり、最後はオタク系のキモブタばかりの病室である。
今迄はどれか一つは回させる事もあったが、問題病室ばかりを担当させられる事は無かった。
何も知らないで、可哀想という感じである。
でも、私も看護士である・・・私が若い頃にいた病室はもっと劣悪な環境だった、あの時に比べれば今はマシだと思う。
まず、認知症患者の病室に向かう・・・体温測定や採血をしようとすれば暴れるし、オムツの取替にもひっきりなしに
呼ばれてしまう・・・。やっと終わってある意味元気な老人達の病室では、布団をめくると丸出しだったり、私のお尻
を撫でて喜ぶ始末・・・最後のキモブタ達の病室では検温する時も採血する時も常に身体を触られた。
大きな体で反対側の手を出すものだから、必然的に私の身体が無防備になってしまうのだ。
三室回る頃には時間がかなり押していた、それでも、認知症患者の部屋からはおむつの交換の呼び出しがある。
もう、便も尿も嗅覚を麻痺させていた・・・少しの昼休みを取って昼食に向かう・・・食べ物の匂いさえ判らない・・・。
サンドイッチをコーヒーで流し込み病棟に戻る・・・。
今日はキモデブ達の病室が身体拭きの日であった、病気のせいかわざとなのか判らないが全く動いてくれない。
パジャマも着替えさせなきゃならないのにである、私が股間を拭く時だけニヤけて喜んでいる様だ・・・。
見たくもないキモデブペニスを見せつけているのか・・・今は素手で触らない分だけ良いと思って体を拭きパジャマを
着替えさせた、こんな問題患者でも誠心誠意看護すれば元気になって退院してくれるそう思って仕事を進めた。
面白くないのはエミにであった、少しもねをあげず仕事を進める、ちさとが目障りであった。
時々進捗を見ていると、他の看護士が嫌う仕事に立ち向う姿は若い時の、ちさとそのものである。
身体を触られても、微笑みながらかわす姿は美しくさえ感じてしまう・・・。
ほんの一日で、昔の感を取り戻している・・・。
エミの腹の虫は治らない・・・いつも掃溜に鶴の様な、ちさとに嫉妬してしまう・・・。
エミもスタイルには気を遣っていたが、ちさとはそれを凌駕してしまう位に美しい・・・。
もう、普通の業務をさせても面白くない、早く夜勤に入れて無茶苦茶にしたい・・・ちさとの判らないところで
怒りをかっていた。
(計画を前倒しにしよう・・・最初の夜勤で・・・フフフ・・・)
それから毎日、ちさとは業務をこなして行く・・・不平不満も言わず、そんな様子を見ていた新人看護士達は
ちさとに憧れて行く・・・ただ、ちさとの肩を持つ事は出来なかった・・・それは婦長の機嫌を損ねることになる
そんな事をすれば自分に飛び火する事が暗黙の了解になっていたからだった。
ちさとは日勤の一週間をそつなくこなした、そしてシフトが配られる・・・。
月曜の夜勤の特別室って誰か患者さんいたっけ?そんな言葉が囁かれている・・・。
その日の夜勤は、ちさとであった・・・ただでさえ人数の少ない夜勤に、特別室が加わる・・・。
しかも、ちさとの担当はそこだけだ・・・来週はその日以外、日勤だったどんな事が仕組まれているのかちさとは
判らなかった・・・。
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