初日は覚える事も沢山ありあっと言う間に一日が終わる・・・。
今は昔と違って、カルテも手書きでは無く電子カルテとなっている、これは看護士全員、ドクターからの指示を的確に受け
また、患者の状況を日々記録している、言葉では判るがパソコンのアプリ入力となると難しい・・・。
スマホ型のナースコール受信器まではなんとかなった、薬品や備品の手配も看護士の仕事の内だと聞かされて全てメモった。
自分のIDを入力して全てが共有されている、おかしな所があれば婦長から叱られる。
10年のギャップはこれ程のものなのか、改めて思い知らされる。
だけど、私はハードルが高い程燃える・・・日勤は本来なら19時頃には帰る事ができる、子供は夫の両親にお願いしているので
私は少し残ってパソコン入力の練習をしていた。
それを見つめる目があった・・・。
(フン・・・相変わらず良い子ちゃんだ事・・・同じ事したってあの子ばかりがチヤホヤされる・・・それが気に食わないのよ)
見ていたのはエミであった、アルバイトでもパートでも無い正看護士として雇わせたのには、エミのトラップがあったのだ。
もう私はそのトラップに誘い込まれている・・・、パートやアルバイトには夜勤はないしかも短時間だ。
それに引き換え正看護士は7時から19時、夜勤ならば19時から翌朝9時まで拘束できる、それだけの時間があれば虐める時間は
いくらでもあるのだ、エミが婦長に成ったのも、ちさとに復習したい一心からであった。
夫を持つ事もなく、教授やドクター達をハニートラップで落としていった代償として得た地位である。
技術も患者への対応も申し分は無かった、ちさとと看護学校でも上位を争うライバルでもあったのだった。
しかし、どんなにエミが努力しても美味しいところだけ、ちさとが持って行ってしまう・・・そんな、ちさとが本当は嫌いであった。
(見てなさい・・・明日からはもっと大変な一日になるから・・・あはは・・・もっと私を楽しませて・・・ちさと・・・来週からの
夜勤が楽しみだわ・・・)
そんな風にエミに思われているとも知らずに私は時計を見てそろそろ帰らないといけないと思った。
この間の様子だと、ヨウスケをあてには出来ない、バスと電車で帰る準備をする。
更衣室に向かってロッカーを開けて制服を脱ぎ、服を着替える・・・時間外出口から帰宅の途についた。
※元投稿はこちら >>