そして迎えたキャンパスライフ、友達も増え趣味の観察も封印していた。
あやかさんもバイトは続け、二人はバイト上がりに待ち合わせて映画やコンサートに出かけて行った。
本当にプラトニックな関係だった、でもお互いの会話の中でいつも口籠もってしまう事があった。
僕は、家族・・・両親の事・・・死別でも喧嘩別れでも無い、母さんの不貞により離婚したのだ。
その原因が僕だなんて言えるはずが無い、いつもはぐらかすか天涯孤独と言っていた。
あやかさんもやはり家族だった、両親の事になると口籠もってしまう・・・。
僕達には同じ様な隠し事の存在は暗黙の了解で出来るだけ言わない事にしていた。
二人の関係は日を追うごとに親密になり、いつしか唇を重ねる日が来た・・・前まで、ちさとさんと
自然に出来ていたキスも、今では尻込みしそう・・・。
その時に、あやかさんは重い口を開いた・・・
『私、君に言ってない事あるんだ・・・私の両親・・芸能人なんだ・・・それでも好きでいてくれる?』
『当然・・・僕はあやかさんが好きなんだ・・・愛しています・・・あやかさん・・・』
『嬉しい・・・』
こんな綺麗な女の子、きっと親が芸能人と言ってもどんな芸能人か判らない、もしかすると収入の不安定や
仕事の関係に言えない様な事があるのかと、自分を納得させる。
そして唇を重ねた・・・。
何日か後に、両親に会わせたいとあやかさんからデートの誘いがあった。
郊外にある実家に途中デートを兼ねて連れて行って欲しいそう言うことだった。
僕はレンタカーを借りる事にした、一般的な2ドアタイプの安いもの・・・今の僕には精一杯・・・・・。
お店で借りて、待ち合わせの場所に急ぐ・・・。
遠くからでもツバの広い麦わらの帽子に、白いワンピース・・・そこだけが明るく見えた・・・。
左にウインカーを出して止まると、すぐに彼女も気付いてくれて車に乗り込む。
『おはよう・・・可愛い車だね、うちのお父さん大きな車なんでお母さんの車に近いかな・・・今日は安全運転でお願いします』
『おはようございます、これ位が今は精一杯、行先登録するんで住所教えて・・・』
県名と、町の名前入力するにつれて聞いた事のある事に気がついた・・・これって・・・自分が住んでいた実家の住所?!・・・
まさか・・・この娘・・・ちさとさんの・・・
※元投稿はこちら >>