「・・・声を出しちゃダメよ?」
そう言って、由紀は一番奥の個室に消えていった。
麻衣はその隣・・・奥から二番目の個室の中で立ちすくむ。
扉を閉め鍵をかけたのは自分なのに、まるで閉じ込められているような気分だった。
30センチほどの大きな白いタイルの壁、濃い青色の床、そして扉を閉める前に見た 壁に並んだ小便器・・・
全てが、この場所が自分のような女ではなく男のための施設だと表していた。
蒸し暑い空気に混じる不潔な匂いが、この場所に自分が居る事の異常さを続けた。
そして麻衣は扉の前を通りすぎる足音を聞いた。
一番奥の個室がノックされ、扉がゆっくりと開くのを聞いた。
震えながら立ちすくみ、両手で口を押えて声を殺した。
グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ、、、、
動物の租借音にも似た卑猥な音だった。
激しくて下品に感じた。
グチュッ、グチュッ、んっ、グチュッ、グチュッ、んふっ、グチュッ、グチュッ、、、
冷たいタイルに反響する音だけで、まるで見ているかのように状況が伝わってくる。
さっきまで一緒にいた・・・マンションのリビングで話していた人妻が どんな表情をしているのかまで想像できた。
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