週末、家でのんびり過ごしていると来客があった。
チャイムが鳴って玄関を開けると陽子が立っていた。
『陽子じゃないの!ひさしぶりねっ!』
『香子、ごめんね突然っ来ちゃって』
『いいけど、なにかあったの?旦那さんは?一緒じゃないの?』
『うん…それが…』
陽子は視線を落とした。
『まあ、とにかく上がって!』
陽子をリビングに通すと夫が目を輝かせて声をかけてきた。
『おや、陽子さんっ、いらっしゃい!相変わらず、お美味しいですね~』
『やめてよ、あなたぁ。それって私にも言ってることになるのよ』
『そうか、香子と陽子さんは双子だもんな、俺も見分けがつかないよ』
そんな他愛もない会話をしていると…
『別れたの…』
陽子がポツリと呟いた。
『えっ!?別れたって?離婚したってこと!?』
『そうなの…』
『あら…突然ね。。』
『驚かせてごめんなさい。家を飛び出して来ちゃったので、しばらく居させて欲しくて…』
『私はいいけど、うちにも家族がいるからねぇ』
『そ…そうよね。ごめんね。』
『いいじゃないか香子、陽子さんが落ち着くまで、ここにいてもらえば…』
『ふーん、あなた陽子さんに手を出したら許さないわよ!ってかアレの禁止期間が延びるわよ!』
『アレの禁止期間!?』
陽子がキョトンとした顔で聞いてきた。
『あっ、アレは…アレよ!お酒のことよ!』
『あ~なるほどね、お酒ならわざわざアレなんて言わなくていいのに、私はてっきり…アレのことかと』
『逆に質問したいわ!陽子が思ったアレって何よ!?』
『セッ…クス』
『陽子ったら、大胆ね!違うわよ、お酒よ!お・さ・け!』
『はいはい、そ~ゆ~ことにしといてあげるわ』
陽子は完全に疑いの眼で私と夫を見ている。
『わっ!陽子おばさん!貴志です、いらっしゃい!』
いつの間にか2階から貴志が下りてきていた。
『あらあら~貴志くんっ!おっきくなったわね~!しかもイケメンくんだこと』
『やめてよ陽子!この子、すぐ調子に乗っちゃうから』
『あら、いいじゃない、香子が羨ましいわ、こんな可愛い息子、私も欲しかったわ』
そういえば、陽子には子供がいなかった…不妊治療したけど結局できなかった。
『陽子おばさん、僕で良かったらいつでも息子になりますよ!ここにいる間は貴志!って呼んでいいですよ。』
『もう、うちの男どもは陽子にデレデレなんだから~
それはそうと、旦那さんと別れた話…詳しく聞かせて』
私は陽子を近くのカフェに連れ出した。
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