・・・あっ、ああっ、いい、いい
小窓の隙間から女の淫靡な声が聞こえる。「覗き見」。人が見られたくないところを、人知れず覗き見るという感覚。今、その現場にいる。すぐ近くで男女が交わっているのは雰囲気で分かった。目を細めて中を見ようとするが、網戸が視界を遮り、はっきりと中が見えない。近くにあった枝を拾い、音を立てないように網戸に突き刺す。グイッと押すと、枝は網戸に刺さった。枝をグリグリと回すと、網戸がミシっと音をたてて、網戸に大きな穴が開く。枝をそっと抜くと網戸に中が見えるだけの穴が開いた。
中を覗く。ランプシェードの間接証明の明かりが見え、そこにベッドがあるのが分かる。数メートル先にベッドの足、そして白いベッドシーツが見え、ベッドの上で2つの影が重なり合っているのが見える。
「あっつ、大山さん!!」。美香の裸を見たのは、勿論、このときが初めてだった。暗がりの中、ゆらゆらと揺れるその身体、肌はあくまでも白く、そして淫靡で綺麗だった。薄い暗闇の中、黒いブラジャーだけを見に纏った美香は、男の上に股がり跳ねるように蠢いている。男の身体を挟み込む白い肢体が見えた。
ゆっくりと、そして、時には暴れ馬の上のように、美香の身体が男の上で跳ねる。美香は上から真っ直ぐに男の顔を見つつ、シーツをしっかりと握った手を離し、たまに男の顔を撫でながらキスをし、恍惚の表情を浮かべている。腰の動きが激しくなると、美香の喘ぎ声も一層と激しくなる。
美香の長い黒髪が揺れている。顔にかかる黒髪をかきあげながら一心不乱に男の上で腰を動かしている。美香を上に乗せながら、相手の男は大きく腰を動かす。男の太腿は見えるが、シーツに隠れて顔がここからでは見えない。
部長?誰だ、あの男?
「秀く~ん、気持ちいいわ…あっん、そこ、そこもっと、もっとして~」。相手の名前を美香が叫ぶ。そこで、はっきりと相手の正体が分かった。美香を可愛いがっているのはやはり部長だった。美香は脚を立てると、腕を男の胸元につき、少し腰を浮かすと、今度は自分から積極的に腰を上下させ始めた。着けていたブラジャーを外され、その乳房が現れる。少し垂れぎみだが、その小さなお椀型の乳房の乳輪は綺麗で、その中心に固く勃起した乳首が見えた。美香の首もとでは、いつも身に着けているプラチナのネックレスが揺れている。部長と手を繋ぎ、のけ反り、髪を振り乱しながら、美香は悦びの感覚を身体全体で表現している。
「あっん、あっん、うんうん、はあはあ、気持ちいい。ずっと入れてたい。このおちんちん。」
美香の声がはっきりと聞こえた。そして、パンパンと腰がぶつかる乾いたリズミカルな音と、クチャクチャという水音が部屋内に響き渡る。
「あっ、これすごい…気持ちいい…あっあっあっ、あっん…だめ、だめ」
「あっ、あっ、うっん…あっ、あっ、すごい…秀くん、いく、いく、イグ~」
より一層、高い叫び声が響き、美香の身体が前のめりに倒れた。
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何分たっただろうか。少し脚がしびれてきた。この場から立ち去ろうと思ったが、そこから動けない自分がいた。前かがみになっていたせいで腰が痛い、僕はたまらず、背丈ほどの網戸の高い部分に穴を開けてみることにした。枝を突き刺すと、バリっと少し大きめの音がして穴が空いた。中の2人には聞こえていない。好都合にも、ここからだと立ったままでベッドの上が良く見えた。
2人とも、まるでこの世の中が二人だけのもののように、そして、まるでこちらに見せつけるかのよう激しく交尾している。一度、ベッド横のランプの明かりが強くなり、美香がベッドから抜け出す。下半身の陰毛が薄ぼんやりと見え、逆ハート形の綺麗な形のヒップが薄明かりの中でゆらゆらと蠢いている。
美香は一度、ベッドから立ち上がると、テーブルの上の服を着だした。美香が手に取ったのはベビードールのような服だった。美香はその服を羽織り、ハイニーの黒パンストを履き、そのままベッドの部長の上に跨り、上から唇を押し当てるようにキスをする。部長の腕は美香の首に周り、美香は部長の乳首にキスを繰り返している。二人の会話がはっきりと聞こえた。
「この服、可愛いよ。美香は本当に可愛いな。」
「秀くんだけよ、そんなこと言ってくれるの。秀くんがこういうの喜ぶかなって思って。でも、嬉しいわ…ねえ、もっと嘗めていい?」
「いいよ。お願いするよ。」
美香は身体を反転させる。二人は性器の相互愛撫の体勢になり、美香は部長の起立した肉棒を握りながら、口元へその先端を運ぶと、幹が見えなくなるまで唇の中にすっぽりと埋めていった。
いつものルーティングなのか、二人とも慣れた様子で体位を微妙に崩しながら、お互いの気持ちいいところを知り尽くしているとばかりに、お互いに性器への愛撫を続ける。
「美香のオマンコ、いい匂いだ。こんなにビチョビチョ。欲しいのか、チンポが?」
部長は黒パンストをなめながら、美香の脚を左右に大きく開く。黒く光る陰毛の下の蜜口に指先をいれつつ、蜜口に下から舌を這わせていく。
「秀くんのチンポ、欲しい。気持ち良くして。早く入れて。そして、今日はいっばいして」。二人の間に淫語が交わされる。
部長は美香の背中に回ると、脚を大きく広げ、後ろら濡れた割れ目に指先を這わす。指先でそこの滑りをすすり、陰唇の上の小さな豆を吸い付くような指先で愛撫しあげる。
「あっ、もうだめ、入れてよ、入れて~」。美香は腹這いになり、四つん這いでその形のいいお尻をつきだす。部長は膝を沈め、後ろから腰を突き出す。ヌルリと肉棒の先端が壁を押し破り、肉棒が根元まで押し込まれる。
「ほら、はいっているよ。ここ、さわってごらん。」
「これかな?本当。秀くんのおちんちん、はいってる。あっ、後ろから気持ちいい。これもいい、いく~、いく~。いっぱい、ついて、お願い」
腰が打ちつけられるごとに美香のヒップが薄明かりの中で波打つように揺れる。そして、美香の背中がのけ反り、美香はベッドにたおれこむ。
「気持ちいい。奥まで入っている。気持ちいい、あっ、あっ、あん。まだいっぱい欲しいわ。」
二人はもう完全にトランス状態で、二人だけ透明な殻に囲まれ外から隔絶されているかのように、本能のままセックスを楽しみまくっている。美香は部長の肉棒を握りながらあの魅惑的な唇で熱いキスを交わしている。美香は横向きになる。部長は美香の背面から美香の片足を持ち上げ、下の内腿に跨がると、そのまま後ろからズブリと蜜口へ肉棒を突き刺す。
「ああああっつ、ああ、いい、いきそう、いっちゃう」
覗き穴からはこの体勢で性器同士の結合部分が一番良く見える。肉棒がヴアギナへ出し入れされる。美香と今、まさにそこで自分自身、美香とセックスしているようなリアリティーを感ながら、僕はズボンとパンツを脱ぎ、自分のペニスをしごいていた。部長の気持ちよさが伝わってくるほど、近くで結合部分が見える。
「見える…すごいはいってる。あっあっあっ、あん、いい。そこいい」。ピストンの動きが激しくなる。
「あっ、いっぱいきて、あっすごい、いくわ、またいきそう、いく。何度でもイッテいい?いいきそう。オチンチン、パンパンになってきた?・・・あっあっ、出して。いっぱい私に出して。あっ、うっん、あああ~」
正常位で一気にフィニッシュへと向かう。部長は美香の左右の乳房を交互に愛撫し、脇へ舌先をはわ競る
「秀くん・・いく~、いっぱいかけて。うっん・・ついて、奥まで。お願い。」
美香は部長の下で悶えながら部長の首に腕を回して、その激流に呑み込まれ、離されまいと必死にしがみついているように見える。
「い、いくっ、うっ、アアーっ、ああああ」
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「すごい、ふふつ、また出ちゃった。ねえ、嘗めてもいい?」
「美香、気持ちよかった?」
「秀くん、うれしい。それにしても、もう、身体動かないわ、ふう~」
二人は横になる。頭通しをくっつけて目を閉じて眠っているように見える。何かボソボソと会話しているが、ここまでははっきりとは聞こえない。美香はベッドの脇に腰かけると、何かを呟きながら、耳のイヤリングを外しテーブルに置く。そして、テーブルに置かれたクリームを乳房、脇、腕や首筋に塗り始める。そしてまた横になると、腕を伸ばし、ランプの明かりを消した。部屋内が完全に真っ暗になる。薄明かりに目が慣れたせいで何も見えない。暗闇の中で、小鳥が囀ずるような小さな笑い声が聞こえてくる。
眠る?・・・・・・夜は長いわ・・・・朝になったら出ていくわ・・・今日はここに泊まる・・・・いいでしょ・・・だから、もっと抱き締めて。
こんな会話が聞こえたような気がした。僕はふらつきながら、夢見心地の気分でテントを後にした。
(続)
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