時間も過ぎゆき、夜になった。
グランピング会場の通りの街灯に灯りがつきはじめ、辺りに夕闇が迫るころ、皆が一同に集まりはじめる。もう既に肉の焼けるいい匂いが漂っている。部長はビールを持ち、乾杯の挨拶でBBQが始まる。
美香にそっと近づき、美香の横顔を見つめる。目尻にうっすらとシワをよせながら、部下たちと談笑している。美香の声に耳を傾ける。いつも職場で聞く声とは違う。そう、職場を離れたときのあの優しく包み込むような声。その横顔は僕の心を鷲掴みにしてきた。そして、何よりも潤いのあるプッくらとした柔らかそうな唇が魅力的だ。
・・・・ああ、美香を抱きたい。あの唇にキスをしたい、しかし、その思いが叶わないことに心が締め付けられる。
夜の戸張が落ちる。街路樹が所々ライトアップされ、レンガ張りの街路に沿うイルミネーションの光が夜の道案内をしてくれる。キャンプ場から見える海は黒くて怖い顔をしているが、街灯の明かりをところどころで反射しつつ饒舌な波音を奏でている。
2時間ほどでBBQは終了する。グランピングは後片付けもほとんど必要なく、食事を終えた男女は、あらかたの後片付けをしてから、それぞれのドームテントに帰ったり、カップル同士で砂浜に行ったり、ハンモックに横たわって歌を口ずさんだり、中には持参したギターを奏でる子もいたりと、それぞれの夜を好き勝手に楽しんでいる。この男女の中で、誰と誰がカップルかは、鈴ちゃんに全部教えてもらっていた。そして、この旅行を切っ掛けに付き合いはじめる子たちもかなりいる。社内恋愛から結婚まで発展したパターンって、この旅行からが多いって鈴ちゃんが言ってた。
「もし付き合っている男女の赤い糸が見えたらどうなると思います?ふふっつ、目の前、真っ赤赤ですよ・・」なんてことも言っていた。
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BBQ会場から100メートルほど離れた場所にテントは設営されている。設営済みのドームテントは、4人用を5ベース、2人用を2ベースほどレンタルした。4人用のドームテント内にはシングルベッドが2つ、2人用にはキングサイズのベッドが1つセッティングされている。4人用にはシャワールームもセッティングされているが、2人用はテントの外に、メインテントと連結してシャワールームがセッティングされている。もちろん、各テントにはトイレも完備されている。
採光の良いつくりで、テント廻りは薄いレースのカーテンで遮光されているだけで、天井はオープンタッチの作りで、天窓からは太陽の明かりが差し込むようになっている。2人用はそれぞれ部長と美香が泊まるテントになっていた。2人用のテントには明かりがついている。
静かな時。海面は黒く怖い顔をしているが、海面には街灯の明かりがところどころキラキラと輝き、昼間と違い、今は海の声が良く聞こえる。若い部下と話しをしていて、気づけば、周りには僕らを含めて数人になっていた。部長も美香も鈴ちゃんもいない。
僕は近くにいた陽介という名前の後輩に声をかける。
「陽介くんは彼女、いないの?」
「今はいませんね。」
「へえ、陽介くん、イケメンやからもてるやろ。会社にええなって女の子いないの?」
「いいなって女性はいます。沖千夏さんです。」
「そうやな、あの子な。分かる。あの子、昔、読者モデルやっとったらしいで。でもライバル多いで~。今日も沖ちゃんの取り合いみたいになってたやろ。可愛いし、頭ええし、それにナイスボディーやしな」
「ほんまですよね。あの顔で、あのおっぱいですよ」
「すごいよな。エロい白のビキニ着とるし、俺も溜まらんかったわ。ほんで、沖ちゃん、彼氏、いいへんって…ほんまかいな。」
「まあ、それにしても君らはええよな。独身やから好き勝手できるやん。羨ましい。応援するから。頑張りや……彼女できたら教えてな。」
「課長も楽しんでいるじゃないですか…鈴江さん。課長とデキてるって聞いてますよ」
「あんまり、大きい声では言えんけど…ほんまや。セフレや、セフレ。でも、無理やりちゃうからな」
「課長、まあいいじゃないですか。皆、知ってますよ。今さら隠さんでもいいですって」
「それよりも、陽介くん、大山さんのこと、どう思う?」
「あの人は美人ですよね。人望もあるし。同性にすっごいモテるって聞いたことあります。旦那が医者なんですよね。余裕もあるし、そういうオーラが人を引き付けるんですかね」
「そうやろ。美人やんな。実はな、俺、大山さんのファンやねん。君の言うように性格もええしな。」
「分かりますわ。大山さんってよく、タイトスカートに黒パンストで出社してくるじゃないですか…あれいいですよね。脚キレイですもん。それに良い匂いの香水つけてるでしょ。大山さん、通ったときってすぐに分かるんですよ。俺もファンクラブに入っていいですか?」
「ああ、もちろんええよ。ほんなら陽介くん、会員番号3番や。俺が二番。一番、誰やと思う?」
「さあ?」
「部長や(笑)」
「部長ですか?部長、お茶目過ぎませんか」
「それが部長のええとこやねん。笑うなや。部長、可愛いとこあるやろ」
「それやったら課長、白木ファンクラブにも入りませんか?今やったら会員番号50番ぐらいですけど」
「白木さんって、そんなファンの男っていてんの?なかなかやな。50番って。でも入らしてもらうわ(笑)」
「ほな、デカチンくん、沖ちゃんとこ、はよ行かな。多分…あそこのテントに…ほらおるやん。見てみ~…それにしてもあのテントの中、男と女がぎょうさんおんで。中で何してるかこっから丸見えやな」
「それでは、課長、行ってきます。」
「頑張りや」
陽介くんの後ろ姿を見送り、管理人にBBQの終了を伝えるために、管理人室へ向かう。
「課長」。後ろから声がかかる。
「鈴ちゃん、あれ?みんなといっしょちゃうの?」
「さっきまで。それにしても長い~って。男二人で何話してんの。ずっと終わるの、首なご~して待ってましたよ」
「そうか。すまん、すまんな。ほな、管理人さんに挨拶してから、テントに戻るから、また後で」
「鈴も付いていく。こっからテントまで一人で帰るの怖いし、課長、なんか気づいたら消えてそうやし。」
「んなわけないやろ。ほな、鈴ちゃん、一緒に行こうか」
鈴江は微笑むとギュツと腕組みをしてくる。Tシャツの上からでも分かる胸の膨らみを腕に感じる。かなりお酒が回っているのか、足元はフラフラしている。
テントに着くと、鈴ちゃんは、
「課長、私、酔っぱらてますよね。はい。酔ってま~す。……ねえ、課長…私、生理前で今とってもエッチしたいんですけど」
「鈴ちゃん、また後でね。酔っぱらいすぎだよ」
鈴ちゃんはフラフラしている。鈴ちゃんの体がグラッとしたので肩を抱くと、課長…キスしてくれます?」
「ああ」。鈴ちゃんの唇にキスをする。
「課長、ねえ、エッチ。お願い」
「鈴ちゃん、ここではダメだよ…誰かに見られるから。また後で…いいかな」
ダメと言わんばかりに、鈴ちゃんはその言葉を無視するかのように、僕の手を引き、コテージの裏に行き、Tシャツを脱ぎ、僕を押し倒す。
「課長…ここなら大丈夫や…ねえ、ここにこんないいもんもあるし」
テントに立て掛けられている空気でパンパンのビーチマットを手にとり、芝生の上に置く。ここだけ死角になっていて、ぐるっとテントの後ろに周らなければ見られることはない。
「ここなら大丈夫だな」
青姦は僕自身は初めてだ。唇を重ねる。鈴ちゃんの舌が積極的に絡み、唾液の交換をするように口の中に唾液が溢れる。舌通しを絡めつつ、鈴ちゃんの手が僕のパンツの膨らみを触る。鈴ちゃんの手がパンツを引き下げ、肉棒を引きずり出す。
「あっん、大きい、鈴、一くんのこれ欲しい」
起立した肉棒を迷いなく口の中に含むと、その薄い唇の奥まで肉棒を咥えこんだ。鈴ちゃんはビキニの上を脱ぐ。Eカップ以上の豊満な乳房がポロリと現れ、重力に従ってタプタプと揺れる。僕は鈴ちゃんの乳房の柔らかさを手のひらで楽しみながら、彼女の胸元に顔を埋めた。乳房にキスマークをつけるように、キュッと唇で柔らかい肉をすってあげる。鈴ちゃんのピンクの乳首は固くなっていて、僕は乳首にぴったりと唇と舌で蓋をする。鈴ちゃんの口から甘い吐息が漏れる。鈴ちゃんはオレンジ色の下のビキニもするりと脱ぐ。
人間は裸になれば、理性という殻ははぎ取られ、心も裸にしてくれる。鈴ちゃんは僕の上に乗ってきた。暗闇の中、僕の手は鈴ちゃんの下肢にたどりつき、黒い陰毛の辺りの割れ目を指先で探る。ひざの裏を擦り、太股の内側を擦りながらゆっくりと中心へ近づけていく。中心にはヌュっと指先が沈むクレパスがあり、そこに指を入れるともうすでにたっぷりと濡れている。指を入れて何度か出し入れする。
「濡れてる…鈴」
「あっん、あっ」。クチュクチュとした水音がする。
「あっん、いい、イク、いきそう」。指を二本入れて膣内をかき混ぜる。
鈴ちゃんは快感で背中はのけ反り、下半身に刺激が伝わる度に 「あっ、あぁっ、んあっ、いい」と高い声で喘いでいる。ここは死角になっているとはいえ、誰か人が来たら、見られてしまう。淫らな雰囲気の中で、鈴ちゃんは恥ずかしい声を我慢することなく、吐き出している。僕の指先が、鈴ちゃんのヴァギナの一番上の突起にぴったりと当たった。
「あっつ、くんっ・・・」という、変な声が鈴ちゃんの口から洩れる。彼女の体はビクンと跳ねあがり、指をくわえていた膣口がきゅっと締まったかと思うと、またゆっくりとその締まりを解いていく。僕は感触を確かめるように中でゆっくりと指を動かしながら、膣口に唇を当てる。指先で広げたピンクの割れ目の中に舌を這わし、まだ形のしっかりと残るビラビラの隅々まで唾液を含ませた唇で愛した後、舌先を一点に集中させた。レモンの蕾を尖らせた舌先でつんつんとつついてあげる。
「うっつん、もう我慢できない・・イっちゃう・・・そこ、すっごい気持ちいい、すって、そのまま」。鈴ちゃんの足の指にぐぐっと力が入り、太股を痙攣させながら全身が緊張で固まる。
「ここ・・・鈴ちゃんの一番感じるところかな?」
鈴ちゃんの股間近くの内股はじんわりと熱くなり、自然と足が開いてくる。汗ばんだ上半身が密着する。 熱い息と共に舌を絡めあい、お互いにむさぼるように舌唇を吸い合って粘着質なキスをした。脳内からは快楽物質が分泌され、興奮はマックスまで高まっていく。アブノーマルな場所でのキス…こんなに気持ちいいのか、と思った。もう片方の手は豊満な胸の上を這いながら、不規則的な動きで乳首に触れながら彼女の性感を高めさせていく。
「課長、入れてください」
僕は頷くと、ぺニスの先を割れ目に当てて、騎乗位のままでぺニスを下から挿入する。ぺニスはその割れ目に抵抗なく入っていく。鈴ちゃんの腰に置きながら、ぺニスを下から突き上げる。鈴ちゃんの足裏と僕の腰でビーチマットがこすれ、腰の律動に合わせて、キュッキュッと音を立てる。
「あっん、あっん、一くん、もっと。お願い。あっあああ、あかん、もうイキそう」。あまりの大声に鈴ちゃんの口を手で塞ぐ。
「鈴ちゃん、ごめん。でももっと静かに」
鈴ちゃんは、うん、と頷くとテントのポールを握りしめ、腰を盛んにグラインドさせている。快楽の悦びに顔を歪ませながら、自分で自分の口に手を当てて、外に喘ぎ声がもれないように必死になっている。目の前にはテントが見え、明かりの中からは声が聞こえている。鈴ちゃんの中が気持ちいいし、喘ぎ声を我慢している顔、重力に逆らうこともなく上下左右に揺れる豊満な乳房、そして青姦という雰囲気でいつもよりかなり早く射精感が押し寄せる。
(ヤバい、もう出そう。)
鈴ちゃんの背中がのけ反る。鈴ちゃんの陰部に手を伸ばし、いつものように、そこにある小さな小豆を指先で愛撫してあげる。
鈴ちゃんは思わず、最後とばかりに絶叫する。
「あああああ、いっちゃう、いっちゃう、ぐっ、イグ~」
「俺もイク。鈴ちゃん、どいて」
そう言うと、鈴ちゃんの体からぺニスを抜く。痙攣するぺニスの先からは2度ほど精液が噴水し、さらにピクピクしながら、亀頭から精液が垂れだしてくる。
僕は果ててしまった。今日のためにオナニーを自粛していたので、いつも以上にたくさんの量を吐精した。
鈴ちゃんはビキニに着替えながら、
「課長、今日はいつもより早かったんじゃないの?」
「ああ、そうやな。でもイカせてもらいました。鈴ちゃんはどうやった?イッたんか?」
「課長。ごめんなさい。いってへん。もう少しやったんやけど。だからまた後で…鈴、シャワー浴びてきま~す」
笑顔でポンと肩を叩かれながら、鈴ちゃんはそう言うとテントの中に入っていった。
***********
「シュー、パン!!」。打ち上げのロケット花火の音が聞こえる。
「誰か花火してんな。鈴ちゃん、行ってみる?」
「行こう、行こう」。海岸線の軽い傾斜道を二人手をつないで降りて海岸に行く。約300メートルの白浜の海岸。その横に堤防があり、地元の漁師さんの船着き場になっている。堤防の端で、親子が釣りをしている。サビキ釣りだろうか。魚が釣れたらしく、きゃきゃとした子供の声が聞こえる。山の中腹にある神社の階段には数百の提灯が灯り、幽玄な雰囲気を醸し出している。
「課長、花火しませんか?見てくださいよ。たっぷり買ってきたんで。ねえ、しましょうよ?」
と若い社員が駆け寄り声をかけてくる。
「鈴、花火しようや。」 。若い女の子が鈴に駆け寄る。
「ええな、やろやろ」。鈴ちゃんは堤防に駆け寄り、若者たちの輪の中に入っていく。花火用の蝋燭の灯りがゆらゆら揺れ、その脇には山盛りの花火が置かれている。
パチパチ、チカチカ、シューシュー。
手持ち花火の光が暗闇の中で揺れ、心地いい花火の小さな音がする。花火の火薬の匂いも夏らしさを感じて良い。僕は遠目からベンチに座りながら、皆の後ろ姿をながめる。パッと明るくなり、そして暗くなり、またパッと明るくなる。花火の光が点滅する暗闇の中で、線香花火をする楽しげな鈴ちゃんの笑顔がストロボのように見えた。
「鈴ちゃん、やっぱり可愛いな」。そう思いながらも、美香のことが気になる。ふと丘を振り返り、美香の泊まっているコテージを見るが、コテージの灯りはここからは見えない。
(美香。美香…今、君は何をしてんの?)
***************
花火の火が消える。暗闇が辺りに広がる。皆、三々五々とテントに帰っていく。皆が帰るのを見送り、「鈴ちゃん?鈴ちゃん?」と声をかける。声をかけるが鈴ちゃんの返事がない。
「帰ったのか」。僕はとぼとぼと緩い傾斜の丘を登り、自分のテントに入る。じわっと汗をかいたのでシャワーを浴びた。まだ、全てのテントには明かりが灯り、皆の笑い声がたまに風にのって聞こえてくる。
「夜は長そうだな」。そう思いながら、鈴ちゃんのことが気になり、鈴ちゃんのテントに顔を出す。男女数人の若手社員が酒を飲みながら騒いでいるが、鈴ちゃんの姿はない。ビリーアイリッシュの歌が流れて、クラブのような雰囲気の部屋内には煙草の臭いがして、薄暗くした部屋内では複数の男女が音楽にのって踊っている。
「課長、飲みましょうよ…さあ、さあ」。グラスにワインを注がれる。正直、鈴ちゃんが気になって、今は飲んでる気分ではなかったが、一杯だけね、ということてグイっと飲み干す。
「皆、居るのか?ここは何人だった?」
「課長、ここは4人です。私と晴海と弥生と鈴江。今は私と弥生だけです。鈴はいないですね」
「そうか…分かった。みんな、楽しんで」
そう言い残してテントを後にする。外に出ると煙草のツンとした煙の匂いが鼻の奥に残っているのを感じた。
次に、沖ちゃんのテントに向かう。
「あっ、課長。飲みますか?」名前を知らない女の子がワイングラスをもって、横に座る。
「君の名前は?」
「波瑠です。初めましてじゃないですよ。」
「いや、ごめん。もう十分飲んだから。ねえ、鈴ちゃん、ここに来た?」
「鈴江ちゃんですか?いや~来てないです」
沖ちゃんがビールを片手にやってきた。相変わらずこの子は可愛い。沖ちゃんは僕に近づくと耳元で呟いた。
「課長…鈴のこと、ちゃんと見てあげてくださいよ。そうしないと…あのこ、逃げちゃうかもしれませんよ…課長、余所見は厳禁ですよ」。
沖ちゃんの意味深な言葉が気になり、彼女ともっと話がしたかったが、それよりも鈴ちゃんのことが気になるので、急ぎテントを後にした。大丈夫なのは間違いないが、とりあえず防波堤沿いを海を見ながら歩く。防波堤には僕だけで、釣りに来ていた親子はもういなくなっていた。
(続)
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