「・・・言えよ・・・見たって・・・何を見たんだよ・・・」
「体育の授業・・・よく自習になってたろ?・・・てかほとんど毎週・・・」
「あぁ・・・ま、受験の年だからな、他にも受験に関係ない科目は よく自習になってたよな」
3年になってから、体育の時間に体操服に着替えていたのはクラスの6割ほどだったのを覚えている。
体操服に着替えた生徒は自分勝手にグラウンドに行ったり、体育館に行ったりしていた。
そして残りの4割ほどは、黒板に大きく『自習』と書かれたクラスに残っていたり・・・と、バラバラな時間だった。
「歩いてるのを見て、理由はないけど後をつけたんだよ・・・」
「・・・・・」
「そしたら裏門の方に歩いて行ってさ・・・覚えてるか?ボロボロのプレハブ・・・」
佐藤は興奮した顔で話していった。
木村は興奮した顔で頷いている。
「後ろからついていったから、どんな顔をしてるのかは見えなかった・・・というか、そもそも何をしてるのか分かってなかったしな・・・どんな顔をしてるか想像もせず、ただついていったんだ・・・」
田中敬子は慣れた足取りで、ボロボロのプレハブに近づいていった。
『用務員室』とマジックで手書きされた扉に手を掛け、振り返りもせずに中に入っていく。
「どうしようか迷ったんだけどさ・・・ゆっくり近づいていったんだ・・・すげぇ緊張したよ・・・」
佐藤は、心臓の鼓動を煩く感じる余裕すらなく、ゆっくりと窓に近づいていった。
全身から汗を噴き出しながら、安っぽいカーテンの引かれた窓の中を覗く。
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