私はいつも通りのシフトで受付業務をしていた。
この病院はこの辺りの基幹病院で、患者もお年寄りを主体としてかなり多い。
私は元々看護師だったが、結婚に伴って職場配置をしてもらった。
いつでも看護師にも戻れる状態で、繁忙期には戻る事を条件にされていた。
今日も忙しく少し遅いめの昼食時間となった。
いつもは外に出て昼食を済ます事が多かったが、今日は患者が多くすぐに
事務に戻らなければならなかったので、目の前の喫茶室を利用しようと思った。
丁度ひとしきりの昼食時間が終わってお客の入りが少なくなっていた。
私はサンドイッチと紅茶を注文した。
香月は驚いた。
目の前に観察していた森高が現れた。
足元から舐める様に見ている、スマホでサイトに上げられている写真と
私を比較していたのだ。
首筋や顔の輪郭、髪型、それに体型など全て同一人物だと確信した。
スマホでの写真撮影はリスクが多いので、ムービーで盗撮していた。
もう一つ思っていた事があった、それは自分の住んでいるマンションで
見かけた人妻だという事。
それを確かめるべく、私の退社するまで待つつもりだった。
私は程なく、食事を済ませて事務に戻った。
そして診察受付も終わって更衣室に向かう。
香月はその様子を確認して通用口に向かい出待ちしている。
着替えて出てきた私を尾行した。
ママチャリで帰る私はいつも通りのスーパーに寄って買物を終え
香月同じマンションへと帰ってきた。
一緒にエレベーターに乗り、私の部屋を確認する。
悟られない様に、私の部屋を確認すると階下の自分の部屋に戻った。
とんでもない偶然だった、香月は今日撮ったムービーを見ながら
こんなに身近にいた事での驚き、素顔を確認できた悦びに黒いものが
湧き上がる・・・。
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