<ラスト>
「やだ、髪の毛の先、濡れちゃたじゃん」
私は濡れた髪の毛の先を良く乾かし、浴室から出る。部屋の中はさっきまで薄暗かったが、ナイトテーブルの上のスタンドの灯りが小さくつき、部屋をほんのりと明るくしている。暖房の効いた部屋の中は裸でいても大丈夫なほどの暖まっている。彼は下半身にバスタオルを巻き、ベッドに横たわり天井を見つめている。
…部屋に備え付けのバスローブは汚そうで使いたくない。だいたいバスタオルさえ、あまり使いたくないけど、そうは言ってられないものね
バスタオルを身体にぐるっと巻き、彼の横へ滑り込む。
「ねえ、あと1時間ぐらいは余裕あるけど、なにする?もう帰る?」
「美香…もう一発しよう。いいだろう?その紅潮した頬も可愛いよ。その唇だって魅力的だ。」
…私はもう十分だった。それに、今日は帰りたい気分が80らいになっている。でも、嫌…なんてはっきり言えない。
「さあ、こっちにおいで」
彼は私のバスタオルを剥ぎ取り、力を込めて全裸の私を抱き締め、唇を重ねてくる。私の唇は半開きになり、少し強引に舌を割り込ませてくる。
「もう濡れてる?」
彼は私の薄く整えた陰毛をさわさわと触りながら聞いてくる。
「あなたが確かめてみたら?」
彼はハの字に開かれた私の太腿の内側を指で撫でる。
「もう濡れてるよ」
「うそっ、本当に?」
「自分でさわってごらん」
彼は私の左腕をもつと、私の指先を太腿の間の黒い茂みへと誘う。
「美香…オナニーしてくれないか?」
突然の申し出に驚く。
「なんでよ…いやだ~恥ずかしいわ」
私はあえて甘い声で可愛く答える。
「前に車の中で言ってたよな。2日に1回はオナニーしてるって。それも俺のチンポを想像しながらってときもあるって」
…確かに言った(汗)。よく覚えてるわね。それは事実。
「オナニー見てたら興奮するの?でも、できたら、あなたにさわってほしいわ。そっちの方が気持ちいいし」
「俺の指はこう使いたいんだ」
そういうと彼はベッドテーブルの小皿に載っているスキンを掴み、袋を破り中身を出す。そして、そのスキンを人差し指に嵌める。
「アナル、してあげるよ」
「そう…うん、わかった。お願い。オナニーしたらいいのね」
*******
肉体関係をもって最初の頃だったかな。二人で初めて行った1号線沿いのラブホテル。薄暗い照明の中、二人は再会の喜びを爆発させ、まるで獣のようにセックスした。失神しそうになったぐらい。息ができないぐらい突き上げられ、彼は私の身体を長時間、弄んでくれた。そのとき、久しぶりにアナルプレイをした。プレイといっても指先を入れられるだけだったけど。
「君のお尻の穴って、縦に長いんだね。皆、こうだっけ?」
クンニの最中にアナルを見て彼はそう呟いた。そういわれ、私はアナルでもセックスできることを彼に伝えた。
「他の人は知らないけど、私…アナルプレイしたことあるの」
アナル開発のことは別に隠しておくことでもない。彼は目を輝かせ、アナルプレイをしたいと言った。
「本格的なアナルプレイには準備に時間がかかるから、また今度ね。でもソフトなのだったらいいわよ」
私はそう答えると、彼は興味津々にプレイの仕方を聞いてきた。一通りの説明を聞き終わると、彼は私のアナルをソフトに弄んでくれた。アナルの周りを優しく愛撫し、アナルを舐め、指先を中に入れてくれた。
「アナルって気持ちいいし、あまり疲れないし、中に出しても妊娠しないし。それに、私…アナルでもイケるようになったから、いいことばっかりよ。でも、今はほとんど使ってないの。だから、やりすぎるとね…穴が広がって漏れちゃうの…ごめんね、汚い話で。」
そういったきり、彼とはこれまで本格的なアナルプレイはしたことがない。
………ねえ、私のお尻の穴にあなたのを入れたくならない?ほしいけど、私からは言わない。あなたのって大きくて割けちゃいそうだけど、一度、試してみたいものね、ふふっ…
********
彼は正座のような格好でベッドの上に座る。私は横向きになり、その格好でオチンチンの根本を持ち、その太い幹を咥える。あまりしない窮屈な格好なのでオチンチンの先が口の頬裏の粘膜をつつき、幹に私の歯があたる。私は左手の指先を自分の股の間へと伸ばす。割れ目を探り、割れ目を撫でながら、その上でレモンのように膨らんだクリトリスを摘まむ。彼は右手の指先にはめたスキンにローションを塗ると、アナルへと指先を伸ばす。
…何だかヘンテコな格好だし、集中できないわね。
アナルの周りが暖かくなる。キュっとしぼんでいた穴がゆっくりと開いていくような感触。焦らすように穴の周りをゆっくりと指先でなぞっている。彼の親指はオマンコの中に入って、そこで動いている。
…まだ指を入れてくれない。何なの?焦らされているの?
…あっ、お尻…気持ちいい。でも、この焦らされる感じっていいわ。早く入れて。さっき洗って中は綺麗だから。
オマンコから流れる愛液がアナルの周りまで濡らしている。お尻の穴が急に熱くなる。彼の指先がヌプっと入る。指の第一関節あたりで止まり、中をかき混ぜる。すぐに圧力を感じると、指が第二関節まで沈み、またすぐに奥へと指先が入ってくる。プチゅプチゅと音をたてながらアナルの中で指が出し入れされる。中の粘膜を指先で擦られ、気持ちいいとこに指先が当たる。私はフェラチオもオナニーも止めて、神経をアナルへと集中させる。薄めに目を開け、上目遣いに彼の顔を見つめる。恍惚の表情なのか…彼は目を閉じている。
「あっ、あっ、あっ、気持ちいい、そこ、そこして…そこ指で…うっん、あっ、いい」
ゆっくりとアナルの中を指が出し入れされる。敏感なところに指先があたる度にビクリと身体が震える。
…あなたは気持ち良くないのに…ごめんね…ねえ、あなたのオチンチン…入れてみない?
喉までこの言葉が出てきたが、ゴクリと言葉を飲み込んだ。
「ねえ、そろそろ入れて?」
「何を?」
「オチンチン入れて」
「どこに?お尻?」
「違うわよ」
「どこ?口で言ってみてくれよ」
「もう…意地悪ね。あ・そ・こ・に入れてください」
「お尻、どう?気持ち良かった?」
「うん、すっごい良かった」
「舐めてあげようか?」
「ううん、お尻はもういいわ。それよりも、早く入れて…そのおっきいオチンチン…ちょうだい」
*********
私は仰向けになり足をゆっくりと広げる。広げた足の間に彼は腰を入れ、ゆっくりと腰を沈めていく。また天井が霞んでみえる。なぜかしら涙が出てくる。
…次はいつ会えるかしら。
私は彼の身体にしっかりとつかまり、大きく揺れる小舟の上のようにベッドの上で身体をバウンドさせる。私の身体を貫く快感の渦に巻き込まれ、絶叫しながら何度かの絶頂を迎えた。
********
「次はいつ会えるかしらね」
私はストッキングを掃きながら彼に聞いてみた。
「明日はどうだ。葬式終わってからってのは」
「だめよ…明日は無理」
「冗談。冗談だよ…………でも、また会いたくなったら連絡してくれたらいいよ。」
********
「舐めてくれるか?」
帰りを急ぐ車の中で、私はハンドルを握る彼のオチンチンを咥えてあげる。彼もそうだと思うけど、まだ、私の中でプスプスと燻るものがある。それは暫くの間は消えずに、小さな火種となって、私の中で燻り続けると思う。2時間という短い時間がその刹那を生んでいるのは間違いない。
自宅から少し離れた所で車が止まる。
「ここから一人で帰れるか?」
「うん、この道なら明るいし大丈夫。一人で帰れるわ。じゃあ……………ねえ、最後にキスして」
少し歩くと、遠目に集会所の灯りが見えた。
…まだ、誰かいるのね
そして、自宅に着いた。自宅の部屋の電気はまだついていない。自宅の門扉を開け、庭を通り、玄関の前でもう一度、スマホのラインを確認する。
********
セックス中、一度だけスマホがガラステーブルの上でブッブッと鳴動した。
「スマホ鳴ったわ、ちょっとストップ」
いったん、セックスを中断してスマホを確認した。主人からのライン。
「今日は23時まで帰れないから、真ん中の鍵だけ開けておいて。ご飯はもう食べたから冷蔵庫にしまっておいて」
「了解。パパ、お仕事頑張ってね。私はもうすぐ寄合から帰ります」
*******
そのラインから以降、主人からのラインは入ってなかった。玄関を開け自宅に入る。ほんの数時間の間の出来事がとても長く感じた。玄関の鍵を閉め、リビングに続く廊下の灯りをつけた瞬間、急に現実世界に戻っていく気持ちの中で、頭がクラクラして、その場に座り込んでしまった。
…夢見てたみたい。でも、なんだかとっても疲れた
でも、私のアソコには、まだ彼の残したオチンチンの形が鋳型で押したかのような感覚でしっかり残っている。
…また、会いたい。
私はシャワーを浴びながら、彼が今日、私の身体に刻んだ痕跡をいくつか確認した。ベッドの中で、明日には消えるであろうその痕跡を触りながら、目を閉じた。
おやすみなさい
(終)
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