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ホテル前でシャトルタクシーに乗ると、運転手に行先を告げた。ダイビングスクールの前でタクシーを止めると、外国人の運転手が片言の日本語で、
「いい一日を」
って言ってくれたの。
「そうね、、今日もいい一日にしたい」。
ガラス張りで外からよく見えるエントランスには、もうすでに沢山のダイビング客がいた。入口のガラス戸を開けて、お客さんの間を抜けながら、受付に行くと、インストラクターのお姉さんがその日焼けした顔を上げる。
「○○さん、また会えましたね。どうしました?」
「あの、、今日帰国なんです。でも、昨日、きちんとお礼が言えてなくて。フライト前にお礼だけきちんと言っておこうと思って」
「△くんね。今、ボートダイビング中だわ。お昼ごろには帰ってくると思うけど。まだまだ時間あるわね、、○○さん、ここで待っときます?」
「お邪魔になるので、またお昼ごろに来ます。」。
そう言って、スクールの外に出たけど、特に何も考えてなくて…ホテルにまた帰って、美咲たちとプールで時間潰そうかなとも思ったけど、それも何だか気乗りがしなかった。 結局、1日目のスクール終わりに行った近くのカフェで時間を潰すことにした。そのとき食べたフルーツ入りのアサイーボールとコーヒーを頼んで、読みかけの江國香織の本を読みながら待ったの。
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「ねぇ、今まで見た映画の中で一番何が好き?できれば古い映画で」と僕は聞かれ、
「難しい質問だな。一杯あるし…一番はわからないけど、いい映画をあげるなら、「追憶」とか「バクダッド・カフェ」とかかな…「バクダッド・カフェ」はラストソングのcalling youも良かったし」。
「あっ、バクダッド・カフェね…いい映画よね。前教えてくれて早速見たわ…どこが良かった?」。
「なんていうのかな…ノスタルジーっていうの…どこか懐かしい感じかな…ストーリーも最高だし…何度も見たし」。
「そうよね槌いい映画って何回でも味わえるよね。ふふっ」。
「セックスと一緒って意味?」。
「そういうこと」。
「どういうこと?」。
薄暗がりの中で、美香は枕を腕で抱え、横向きになって僕を見つめている。薄目のメイクに細く書いた眉毛。その瞳が怪しく輝いているように見える。柔らかそうな内股の上に薄い陰毛が見える。 ヒップも太腿も弛んできているが、ヒップから腰にかけて一旦落ち込み、またバストにかけて描く腰の曲線がいつもたまらなく美しく感じる。 小ぶりの乳房の先端部分に触れ、指で円を描く。くすぐったいのか、軽く吐息が漏れる。指先でその曲線をなぞる。
「きれいだ、とっても」
指先で太腿の奥の肉ビラを広げ、その割れ目に指先を這わせる。濃い茶色の盛り上がった肉壁の中から、赤い唇をさらし出すと、その入り口から指を差し込んでいった。
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( もうそろそろかな?)
エントランスは午前中見た景色のように、人で溢れている。外から見ると、ガラス越しに見た人混みの中にJがいた。 ここまで来てるのに、なぜか気持ちが揺れる。
(どうしようかな)
ふと足が止まる。
「あんなに一緒にいたのに。でも、はっきり言えなかったお礼だけでも言おう」。
エントランスの扉を開けた。色々な音が耳に飛び込む。なぜかドキドキする。
(続)
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