「かに、かに。久しぶりのカニ…ねえ、ママ…これってタラバガニだよね。見て…足おっきい…う~ん、めっちゃ美味しいっ。朝陽もじゃんじゃん食べなよ。とってあげる…もう…パパ、それ、朝陽のカニよ。パパのはこっちね」
「お義父さん、すいません。まあちゃんって…自分で取るからいいよ」
見ていて、何となく朝陽君の動きがぎこちない。目もとを少し伏せがちで箸を進めている。たぶん、さっき二人で部屋に戻ったときに、私の苦言を長女は朝陽君に伝えたのだろう。照れ臭いのか、恥ずかしいのか、分からなくて、何となく彼に申し訳ない気がした。
「朝陽、もっと食べなよ。何で遠慮してんの…ママ、朝陽のビール無くなったよ~。ごめん、持ってきて。」
「まあちゃんが持ってきたら…ついでにママの梅酒もお願い…冷蔵庫に冷やしてあるから、持ってきて。さあ、朝陽くん、カニ食べてよ」
まあちゃんは一人でペチャクチャと喋っている。楽しいというのもあるけど、多分、彼女なりに周りに気を使っているのだろう。パパも長男も白々しく、黙々と食べているので、まあちゃんと朝陽くんの話し相手は自然と私になる。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。〆のカニ雑炊を食べて夕食は終わり。その後、パパ、長男、朝陽くんと順番に御風呂に入っていく。
「ママ、今日は一緒にお風呂入ろうよ」
「いいわよ」
昔からそうなの。まあちゃんは大きくなってからも、私とお風呂に一緒に入りたがる。甘えん坊なのよね。まあちゃんとお風呂に入るときは決まって、まあちゃんの恋話やエッチの話になる。それから、お風呂はとっても大事な性教育の場所なのよね。
私の母が私に言った言葉。今でも私の人生の指針になっている言葉。
「あなたが傷つかない程度で、たくさん遊びなさい。男の人をたくさん知りなさい」
この言葉もまあちゃんがまだ15か16の頃、お風呂に一緒に入っているときに伝えた。匂いがしなくなるアソコの洗いかた、避妊方法、フェラチオや体位、男が喜ぶセックスの仕方も含めて、私が大事だと思うことは沢山伝えた。
・・・長女と一緒にお風呂に入るのはいつぶりだろう?
先に湯船に浸かっていると、長女が浴室に入ってくる。Dカップ以上はあるオッパイは綺麗なお椀型、ツンと上を向いた乳輪はピンク色、ツルツルの肌にプリっと肉付きのいいお尻に太腿。太腿は張りがあって、私みたいにシミやたるんだ部分はどこにもない。見ていて、若いって羨ましいって素直に思った。まあちゃんは椅子に座り、身体を洗い始める。背中ごしに語りかける。
「まあちゃん、さっきの話、朝陽くんに言ったの?」
「言ったわよ。そう…って言って、何だか恥ずかしそうだったわよ。」
「まあちゃんたちって、週何回なの?」
「最近は多くて週4ぐらい。レスっていうのとはほど遠いけど、朝陽くんってここ(ママの家)だとエッチしたくなるみたいよ」
「そんなこと言ってたの?…まあちゃん、エッチはしていい。新婚だから、それが普通だもの。今日もしていいよ。我慢しなくていいって、朝陽くんにも伝えておいて。ただ、あの声の音量をもうちょっと落としてくれたらいいから」
「分かりました~。シーツ、必死で噛みしめながら、声が一切漏れないように(エッチ)するわ。」
「もう…嫌み?そこまでしなくても…まあ、任せるわ。そうそう、妊娠はまだなの?この前の電話だと、まだって言ってたけど。」
「避妊はしてないんだけど、まだみたい。生理はバラバラだけど、来るときは来るし。ママが、子供欲しいんだったら若い時がいい、って教えてくれたし、私も朝陽も子供好きだから、早くって思ってるんだけどね。まあそのうち出来るよ」
「出来なくて気になったら、産婦人科に行って調べてもらうのよ。不妊症ってこともあるからね。」
「は~い。分かりました」
「まあちゃん、あとね、VIOはしないの?」
「ママみたいに?…あそこの毛って一回すると、もう植えてこなのね。ママのってずっと逆三角形のままだし。ねえ、どうなの?したほうがいい?」
「ママはオススメするわ。まあちゃん、どちらかというと濃いめでしょ…あそこの周りまで生えているから、いくらアソコきちんと洗ってても、蒸れて匂ったりするわよ。エチケットだし、朝陽くんのためにもオススメよ。お金なら出してあげるからね」
「お金はいいけど、考えとく。朝陽にも相談しないといけないしね。その時になったら、色々と教えてね」
…こうやって娘とお風呂に浸かりながら、ゆっくりと話するのは久しぶりのような気がする。昔はよくこうやって話したのにな~
「ところで、ママ、パパとはいつエッチするの?姫初めってやつ。」
「あんたたちが帰ってからね。だから明日」
「本当にママたちって仲いいわね。それが夫婦円満のコツってやつ…よね」
「そうね。パパが求めてくるからね。拒否する理由もないでしょ。そうだ、パパ、最近、オモチャ大好きなのよ。ネットで買うのは嫌だし、自分で買いに行くのも嫌だからって、知り合いの人に買ってきてもらってるの。」
「ちゃんと勃たなくなってきてるから?もう年も年だし。」
「ううん、中でフニャッとはならいんだけどね。あなたも年齢重ねたら分かるわよ。性癖ってね…変わるの。尖ってくるっていうか、ノーマルなエッチじゃ物足りなくなるのよ」
「どういうこと?」
「前なんか、小さなバイブあるでしょ。あれ入れたまま、夜中、コンビニに行かされたの。パパは車の中からリモコンでスイッチ入れるのよ。それで、私の反応見て楽しむのよ。面白いでしょ。ウケた?」
「もう、パパったら…バカみたい」
「もう、お風呂上がるわ。逆上せそう。まあちゃん、ゆっくりしてて」
笑い声が浴室に響く中、カチャっと扉を開ける音が聞こえた。
…パパが入ってきたわ。どうしたのかしら?
…なぜ、そのとき私は入ってきたのがパパと勘違いしたのか…
私は浴室の扉を開け、全裸のまま、洗面台の鏡の前に向かう。私の視界には誰かが立っているのは分かったけど、かなりの近眼なので、近づくまではそれが朝陽くんだとは分からなかった。
あっ!と思ったときは遅かった。朝陽くんの声が聞こえ、それと同時に彼の顔がぼんやりと見える。
「えっ、お義母さん?」
「朝陽くん?えっ、朝陽くん…キャぁ~、待って」
私は思わず浴室へ駆け出していた。まあちゃんがびっくりした顔で私を見つめる。
「ママ、どうしたの?大声だして」
「パパかと思ったら、朝陽くんだったの…もう、私ったら何してるの…裸、見られちゃった」
まあちゃんがお風呂から飛び出し、外で何か朝陽くんに言っているのが聞こえてきた。後で聞くと、彼は単に歯磨きをしてて、彼は風呂から上がってきたのは、まあちゃんだと思っていたら、私が裸で側に立ってて驚いた、とのことだった。
…もう、私ったら…何してるの。全部、見られちゃったわ。
そろりと浴室から出ると、まあちゃんはリビングで髪を乾かしていて、まあちゃん以外は誰も居なかった。
「ママったら。本当におっちょこちょいなんだから…朝陽、びっくりしてたよ。ママってそういうところあるよね」
「ごめんなさい…朝陽くんに謝っといて」
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その日の夜はそんなアクシデントもあったけど、それ以外は静かに過ぎていった。でも、身体が何だか疼いて仕方なかった。彼に裸を見られたから?多分、そのせいだと思う。身体の疼きと、明日になるとまあちゃんたちが帰っていく寂しさで、今日もしばらくは寝付けずにいた。
そのうち、隣の部屋からは相変わらず、まあちゃんの喘ぎ声が聞こえてきた。でも、声のボリュームは昨日ほどは大きくなかった。私は苦笑しつつも目を閉じると、夢を見ることもなく、いつのまにか朝になっていた。
朝になり、まあちゃんたちは昼を待たずして、帰っていった。
その翌年の初夏、まあちゃんは里帰り出産で戻ってきて、一月後、無事に第一子を出産した。朝陽くんは出産に立ち会ってくれた。彼は数日ほど我が家に滞在していたが、
「子供をしっかり抱ける日を楽しみにしてます」と言い残して仕事のために帰っていった。まあちゃんは退院して一月ほど我が家にいたけど、
「朝陽のことがそろそろ心配だし、早く彼に子供を抱かせてあげたいから」と言って、子供を連れて帰っていった。
そして、私はというと、職場に休職願いを出した。3カ月ほどのお休みを快くもらい、まあちゃんの住む家へと向かった。
(続)
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