第三夜
「美香、起きろ、目を覚ませ」。私の頭上で声が響く。
「パパ?…何?」
パパの声に思わず驚いて目を開けると、パパの顔は霧の中へと消えていくように、もわっと消えていった。分厚い遮光カーテンの向こうは青い光に包まれている。
「夢か…夢みてたのね、、やだ、何だか変な夢」
久しぶりに夢を見た。目覚まし時計のデジタルは6時を示していた。5時にセットしたアラームが鳴ったことに気づかずに1時間も寝坊してしまった。そして、普段の朝は人気を感じない部屋の扉の隙間からは、もうすでに朝の匂いが入り込んできている。
そっと部屋の扉を開ける。広いリビングの向こうのキッチンにまあちゃんは立って、朝の準備をしていた。リビングには何かが焦げる匂いと味噌汁の匂いが混じった空気が充満している。
「まあちゃん、ごめんなさい…今日、寝坊しちゃったわ…今から準備するから…そこに座ってて」
部屋から急いで出ると、リビングを小走りに横切りながら、キッチンの冷蔵庫にかかるエプロンを手にとる。
「ママ…いいって。何、あせってんの。今日は私が朝ごはん作るから。まだ寝てて。」
大量の家事。連日連夜の育児。仕事を休職しての育児に、まあちゃんはフラストレーションを感じている気がする。それでも、皆に向けて笑顔を絶やさずに毎日を過ごしている。そんな、まあちゃんに私は言えない秘密を抱えている…あなたの大好きな人と不貞を働きながら…何事もなかったかのように平然と過ごしている。
これまで、ほとんど喧嘩したことのない仲のいい実の娘。反抗期もなくここまで成長してくれた。そんな愛する娘に気を使って過ごす毎日。本来、気を使うのは朝陽くんのはずなのに、一番気を使ってるのが皮肉にも長女だなんて。
朝陽くんとのセックスの後、まあちゃんに悪いなって思わなかったことは一度もない。この関係を本当にやめようかなって思わない日は1日もない。それでも、朝陽くんとの関係は止められない。いずれ私は居なくなる。前のように、そこで自動的に関係は終わる。炭酸の泡が消えていくように。
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早朝だというのにリビングのレースのカーテンからは夏の匂いが音もなく入り込んでくる。
「まあちゃん…今日は髪切りに行ってくるね。それから、プールに泳ぎに行って、その後に帰ってくるわ」
私はまあちゃんの勧めで、数週間前から区役所が経営する区民プールに通い初めていた。ストレス解消のためにジムに通うことも考えたけど、水泳だけで十分なの。胸の大きさはちゃんと維持したまま、腕とかお腹とかは凹んでくれるので、私にはこれぐらいが丁度いい。
それに、もっといいことがあるの。そう…まあちゃんに分からずに朝陽くんとお昼に会えるの。これは私が考えたこと。
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まあちゃんに教えてもらった美容室で髪を切ってもらった。悩んだけど、今までセミロングにしてた髪を思いきってボブにしてもらった。
…ふふっ、みんな、びっくりするかしら。
美容室の帰り、朝陽くんに電話する。前から予定していた通り、朝陽くんは昼から有休を取ってくれていた。まあちゃんは朝陽くんの会社に電話することはないので、このことがバレることはない。
私はスイミング、朝陽くんは会社。まあちゃんはそう信じている。愛するまあちゃんを騙すようで、彼女には悪いとは思うけど、これが一番、私の心にも、まあちゃんの家庭にも波風を立てない一番いい方法だと思う。自宅でエッチするのは、そのうちバレちゃうわ。そう思うとリスクが高すぎるもの。
前から決めていた待ち合わせ場所で車に乗り込む。車に乗り込み、彼の顔を見た瞬間、いつも通り、少しの後悔、緊張、そして罪悪感が沸き上がってきたけど、それらを全部、一気に心の奥深くへと押し込めた。そして、最初に感じた息苦しさは徐々に消えていった。
助手席に座るなり、「お義母さん、髪短くなりましたね。似合ってますよ。素敵です」と朝陽くんは声をかけてくれた。
「短すぎない?髪で隠れてた首元が空いたから、そこがスースーするわ。朝陽くん、お仕事、休んでくれてありがとう。お仕事のほうは大丈夫なの?」
「いや、いいんですよ。休む分はきちんと仕事してます。周りには迷惑かからないので、気にしないでください。」
「そう…それならいいわ。でも、あまり無理しないでね。」
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車が走り出して目的地へと向かい始めると、ふと膝の辺りに彼の手の感触がし、それが私の太腿へと移るにつれてはっきりと手が触れているのが見えた。
私の住んでいる大阪の某所では海に行こうと思うと自宅から結構、車を走らせないといけないけど、ここでは海までは割りと近い。車は海岸沿いの国道に出ると、海が見え、太陽の光で輝く海面からの照り返しが私の左頬に差した。
彼の手で私のスカートは捲りあがり、太腿の奥までが無防備になっていた。指先は黒パンストに包まれた内腿のあたりを従順しながら、内腿の皮膚の薄いところにくると止まる。
「もっと、触っていいわよ」
そういうと私は足を少し広げてあげる。彼の指先は遠慮なくパンストの厚い生地で作られたクラッチの部分へと入っていく。心臓の鼓動は高鳴り、これからのセックスへの期待で胸がワクワクした。
車は高速を降りると、すぐに高速に繋がるバイパスに入る。バイパス沿いには何軒かラブホテルが建っていて、その中の一件のラブホテルの門を潜っていった。昼間だというのに、バイパス沿いのラブホテルは7割り方は埋まっている状況だった。このホテルは空いている駐車スペースに車を止めることでチェックインになるシステム。私は車を降りて、何部屋かチェックした後で、彼の車を305号室へと停めさせた。
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私は部屋に入るとベッドに腰かけたまま、しばらく窓のない室内をそっと見渡した。見慣れた内装の部屋で閉塞感はまったく感じなかったが、うっすらと煙草の残り香が空気中に漂っている。
彼が私の隣に座るとベッドのスプリングがギシっと歪む音がした。ほどよい固さと弾力のあるベッド。いつもなら、ドリップコーヒーを入れて、ソファーに座りながらゆっくりと情事を始めていくのが私流だけど、それは割と時間に余裕のあるとき。背中には少しだけ汗を掻いているのを感じる。そことは対照的に肌や唇だけは乾いているのがわかった。
…緊張してるのかしら、私?
途中で買ったレモン味の炭酸水をバックから取り出し、一口二口と飲む。口の中にシュワッと温い泡が拡がり、音と共に喉へと消えていく。
彼が私の手首を掴んで身体を引きよせた。ボブにしたために露になった白い首筋に彼の濡れた唇がはい始める。私も彼の肩に顔を近づける。長い首に、丸く浮き出た喉仏が見える。首筋に唇を近づけ、そっと吸い付くと、うっん、という小さな吐息が耳元で聞こえた。
シャツのボタンを一つ、二つと外される。ボタンを全部外され、シャツを脱がされると、黒いレースのブラジャーの上から乳房を揉みし抱かれる。彼の手は器用にもスカートの後ろのジッパーをジッーと下ろしスカートを脱がした。私はすぐにブラジャーに黒パンストという姿にさせられた。彼もワイシャツ、下着シャツ、そしてベルトを外しズボンを床にするりと落とし、ボクサーパンツだけの姿になる。スポーツをずっとしてきただけあって、無駄な贅肉のない上半身と二の腕、腹筋が見てとれた。
パパと比較するのは変だけど、朝陽くんとパパとは肌の艶も違うし、お腹だってパパは出っ張っている。パパの背中には一杯、メラニンが浮き出て消えなくなった黒い染みだってあるけど、私はそういう背中の方が安心できて今は好き。
私は汚れた女。だから、人生の経験と苦楽がにじみ出ている背中が好き。この部屋に入ってすぐには気づかなかったけど、ベッドから見えるバスルームがガラス越しに透けているのがいまさら分かり、ドキッとした。
「汗かいたから、今日はシャワーだけは浴びさせて」
そう最初に言っておいた。家を出てから、朝陽くんとの待ち合わせ場所まで暑い中を結構な距離を歩いたから、私のアソコやアナル周りは汗で蒸れ蒸れになっていると思った。だから、今日は舐めあいっこになる前にデリケートゾーンは綺麗にしておきたかった。
彼は「お風呂のお湯にゆっくりとつかれるように」と浴槽にお湯を溜めてくれた。浴槽は二人が足を伸ばして入っても余裕があるぐらい広く作ってある。浴槽へ注がれるお湯の音がベッドまで聞こえる。お湯が溜まったら自動的に止まる仕組みなので、まだお湯は満杯になっていないのだろう。
私は結んでいたヘアバンドを外す。ハラリとした黒髪が肩まで流れる。彼は私の背中に回ると、すっーと背筋を指で撫でた。
「汗…かいてるでしょ…汗っかきだから、私。だから、夏はあまり好きじゃないの」
「今度、海にでも行きますか?みんなで」
「いいわね。でも見に行くだけでいい?。私、もう水着に自信がないの。」
「見に行くだけですよ…潮風に思いっきり当たるのもいいと思いますよ…それに、この辺りの海は泳げないんです。昔は泳げてたみたいですけど。お義母さん、昔は良く海に行ってました?」
「20代のときは良く行ってたわ…今は絶対無理だけど、ビキニ着てたのよ…女の子同士で行くと必ずってぐらいナンパされてたわ…今となっては懐かしいわね」
「その時のお義母さんに会ってみたくなったな」
彼は変に遠くを見つめるように視線を泳がせながら、彼の右手がブラジャーの隙間から入り、胸を揉み始める。固くなった一点に指先が触れ身体がビクッと揺れる。耳元に熱い吐息を吹き掛けられ、思わず軽い吐息が漏れた。
私は左手を彼の首へと回し、彼の顔を近づけてキスを求めた。唇が重なり、半開きになった唇からは舌先が潜りこみ、口の中で絹糸のように絡みあう。彼独特の息の匂いがする。彼の指先がパンストの下のパンティの縁に引っ掛かり、さらにその下へと潜り込む。すっと下へと流れながら指先は暖かくなった陰部へと送りこまれ、蒸れた箇所で立ち上がる。クロスした二本の指先が割れ目をこじ開けながら入ってくる。
ピチャッっと水音をたてながら動く指先に合わせて、私の身体に震えがくる。指先の腹を上にしてオマンコの壁の天井を探られる。そこには細かい襞が密集していて、爪を立てないように、オマンコの襞をこそぐように指が動かされる。たまらなく彼の首元に顔を埋め、彼の首筋を甘噛する。汗の匂いなのか、しょっぱい味がした。私は全身を貫くあまりの気持ちよさに思わずうめいた。
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もうすでに浴槽へと注がれるお湯が出る音は止まっていた。それに気付きながら、オマンコに感じる感触に酔い腰を自由に動かす。私たちはもうすでに暴発し、お互いにパンツを脱ぎ、ベッドの上で全裸になって抱き合っていた。朝陽くんのオチンチンをしっかりと握り、ゆるゆると動かしながら、それを私のオマンコへと誘う。
「もうきて、はやく~、朝陽くん、きて、ここよ」
彼は頷き、腰を前へと進めた。オチンチンがオマンコの割れ目をツプッと割り、続いてオチンチンの全てがオマンコへと飲み込まれていった。
「あっ、あああん、固いの、入ったわ、きて、ついて」
すぐにでもイキそうな感覚に不安を覚えながら、私自身、腰を動かし始めた。
(続)
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