僕はちさとさんの観察ノートに今日の出来事を書き留める。
カメラのデータを、特にちさとさんの庭いじりを何度も見ていた。
母さんより歳上なのにこんなに可愛くて、綺麗な人が、眩しく宝石を見ているようだった。
また、日が傾き沈んでいく、母さん達が帰ってくる。
けれど今日は少し違った、母さんが知り合いにズッキーニを沢山貰って、お隣にお裾分けすると言い出したのだ。
まだ、入ったことのない、ちさとさんの家に入れるかも知れない、そう思って
「母さん、お隣には僕が持って行こうか?」
「そうね、だけど、こんなの迷惑にならないかしら?」
「新しいうちにあげた方が良いとおもうよ」
「そう、そうね、じやあ届けてちょうだい」
僕は手提げにズッキーニをいくつか入れてちさとさんの家に向かった。
ドキドキしながらインターホンを押す。
「はーい、どなた?、あ、君 」
「こんばんわ、母がズッキーニを沢山戴いたもので、お裾分けです」
ふと、ガレージを見ると、今日もちさとさんのミニクーパーだけが寂しく停まってた。
「カギ開けるから入って、今手が離せなくって」
オートロックなんてすごいななんて思いながらカギの開いたドアーを開いた。
何だか空気が違う、ちさとさんの匂いがする
「ごめんね、君 スリッパ好きなの使って、ダイニングで待ってて」
どうも地下の方から声がする。
声のする方に行ってみる事にした。
ドアーは閉じるとカギが閉まる仕組みらしい、少し驚いた。
まるで泥棒みたいに、息を殺して廊下を進んだ。
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