【20】
時刻は22時、雨雲が流れて雲間から綺麗な月が見えている。
先程までの土砂降りが、嘘の様だ。
都会の夜空より田舎の夜空の方が澄んでいると言うが、実際そうかもしれない。
田舎はネオンが少ない分、月の明かりがよく映るのだろう。
この森浦町でも、夜空に浮かぶ綺麗な月を眺めている者達がいるに違いない。
そして、その森浦町唯一の自動車教習所、森浦教習所の敷地内から1台の車が出てきた。
田舎の風景には、不釣り合いな高級車だ。
余程の地位でなければ、手が出せない代物だろう。
そんな高級車を乗り回すのはどんな人物かというと、やけに上機嫌な様子だ。
どうやら乗っているのは男で1人だけの様だが、満悦の笑みを浮かべていた。
高級そうなスーツやYシャツがはだけ、髪型も乱れているが気にする素振りなど全く無い。
この男にとっては、それどころではないからだ。
運転しながら、男は携帯電話を取り出すと何処かに掛け始めた。
交通違反だと知っていても、男に悪びれる様子は見られない。
いや、身分をちらつかせればこの町で追求する者は誰もいないだろう。
すると、電話先と繋がった様だ。
「・・・・・おぉ、待たせたね。
ようやく終わったよ。今、向かっているからもうじき着くだろう。
君達の方はどうだ?
・・・・・そうか、それなら既に帰宅している頃だな。
まさか、こんな事態が起きているとは夢にも思わんだろうなぁ。
・・・・・んっ、こっちか?
まぁ、しばらくは動けんだろう。
私も、つい夢中になってしまったからな。
壊れてなければいいが・・・。
・・・・・あぁ、分かっているよ。
次は、程々にしておくさ。
極上の玩具は、大事に扱わんとな。
・・・・・安心したまえ。
君達は、私が最も信頼する右腕だ。
特に、君は今回の大殊勲者だからね。
こんな田舎にと、にわかには信じ難かったが君の頼みを聞いて大正解だったよ。
心配しなくても、君達にも後で堪能する場は設けるつもりだ。
だが、私もまだ満足してないんでね。
もうしばらく、愉しませてもらうぞ。
・・・・・あぁ、予想をはるかに上回っていたよ。
あんなに取り乱したのは、初めてだ。
今、思い出しても・・・。
・・・・・ハハハッ、まぁ落ち着きたまえ。
あと、10分もあれば着く。
酒を飲みながら、語ろうじゃないか。
そうだなぁ、こんな時は旨い酒に限る。
1番高い酒を、用意しておいてくれ。
今夜は、とことん飲むぞ。」
男は、下品な笑い声を上げながら車を走らせた。
高級車のエンジン音が聞こえなくなり、再び森浦教習所は静けさに包まれた。
山を切り開いた場所に位置している為、周辺に建物は無い。
ただでさえ、田舎の夜間に出歩く者は少ないのだ。
この時間帯に人が居るとは誰も思わないし、教官達だって残業はとっくに終わっている。
だが、もしも偶然通りかかった時にまだ明かりが点いている事を不審に思った者や、忘れ物をした教官が取りに戻ってきていたら、今夜は刺激的な光景を目撃していただろう。
その教習所内で唯一明かりが点いている部屋は、応接室だった。
来客が訪れた時に、応対する部屋である。
特に、権力者が相手であれば接待も必要となる場所なのだ。
しかし、今夜この場でおこわれた行為を接待と呼ぶにはあまりにも苛虐なものだった。
長方形の大きなガラス製テーブル、その上に横たわる1人の女。
目は虚ろで、表情には生気が無い。
普段の気が強そうな顔付きは、一切見られなかった。
更に、もっと異様なのはその女の形貌だ。
一糸纏わぬ姿で、何も身に付けていないのである。
そう、この森浦教習所に勤める牧元幸子だ。
そして幸子は今夜、原井によって理不尽に犯されたのだ。
解放されたのは、ほんの数分前で約2時間にも渡る淫攻を受け続けた。
犯された傷跡とも言うべき証拠も、しっかり残っている。
幸子の顔や身体の至る所に、原井の汚濁液が固着していたのだ。
肉壷から垂れ流れているのはもちろん、髪、顔、豊乳、太もも、肉尻など幸子の扇情的な箇所にぶちまけられていた。
原井が、幸子にどれだけ御執心だったのかよく分かる。
汚濁液だけではない。
手の痕も紅く残り、幸子の豊満な身体を荒々しくまさぐった様だ。
一体、汚濁液を何度浴びせられたのか。
途中で抗うのを止め、それからの事はあまり記憶に無かった。
何となく意識を取り戻したのは、原井が帰る時だ。
話しているのは分かったが、はっきりと理解出来る状態ではなかったのでよく覚えていない。
だが、これで一件落着であるはずがないという事だけは言うまでもないだろう。
雨も止み、静まり返る教習所で蛙の鳴き声だけが外から聞こえている。
幸子は、ふとある事が気になった。
現在が、何時なのかだ。
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