由美さんの運転する車は 県境を10分ほど過ぎた山道にあるラブホテルの駐車場に入っていった。
車が停車すると、俺は安堵のため息を吐いた。
けれどすぐに、人生初となるラブホテルの敷地に緊張が戻ってきた。
由美さんも同じように息を吐いていた。
1つ目は安堵・・・そして2つ目は決心・・・そんなため息だった。
車を降りると、扉に向かった。
建物には扉が並んでおり、回りを見渡すと その扉ごとに車が停まっていた。
どうやらホテルというよりもモーテルのような作りになっていた。
パーテーションが邪魔でナンバーなどは見えないが、車が停まっている部屋が使用中・・・という事なのだろう。
緊張していた俺は、由美さんがこの施設を知っている理由を疑問に思う余裕すらなく、由美さんに続いて扉の中に入った。
白とピンクだらけの部屋だった。
部屋の中央には大きなベッドがあり、壁際にはテレビとスロットマシーンが置かれていた。
奥の扉はトイレのマークが書かれていた。
脱衣所の扉はただのガラスで、中の様子が丸見えだった。
そして風呂も、大きなガラスでしか仕切られていない。
全てが、この部屋が作られた目的を如実に表していた。
「・・・シャワー・・・浴びる?」
そう言った由美さんを、俺はベッドに押し倒した。
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