「ね、見た・・・わよね?」
「・・・何を?」
「・・・・・」
由美さんは無言で俺の目を見つめた。
大きな瞳に見つめられると、俺は何も隠せずに思いつくまま答えていった。
「・・・あの・・・廊下で・・・店長が由美さんと話してて・・・」
「・・・・・」
「由美さん・・・すごく困ってそうな感じで・・・けど・・・けど、最後には頷いて・・・」
「・・・それで?」
「それで・・・事務所の中に・・・2人で・・・」
「・・・その後は?」
「・・・・・」
「その後、どうしたの?」
「・・・わかりません・・・」
由美さんは ふーーっと息を吐いた。
そして小さな声で「そう」と言うと、安心したように全身の力を抜いた。
「・・・あの・・・」
「ん?」
「何か・・・あったんですか?」
「・・・何もないわ」
「でも・・・」
言いかけた俺を、由美さんの大きな瞳が黙らせた。
何も言えなくなった俺を、ライトに照らされた由美さんの目が見つめていた。
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