「ねぇ、裕樹くん・・・」
由美さんに声をかけられたのは、7時上がりのシフトの日だった。
「この後、少し時間ある?」
大きな瞳で、いつもより少し緊張した雰囲気で見つめられながら、俺はガチガチに固まりながら頷いた。
いつもは9時・・・日によっては10時までバイトしている俺に断る理由などなかった。
「ちょっと話したいの・・・」
そう言った由美さんが、バイト終わりに俺を連れていったのは 駅前にあるマンガ喫茶だった。
俺は緊張に固まりながら、財布から会員証を出しカップルシートをとる由美さんを見ていた。
薄暗い店内を慣れた足取りで進む由美さんを追いかけ、人生で初めて『カップル』と銘打たれた場所に足を踏み入れた。
進められるまま部屋に入り、部屋の8割を埋め尽くすソファーに握り拳を膝に置いて座った。
ずっとドキドキしていた。
座っているだけで額に汗が滲むのがわかった。
そんな俺の隣に、肩が触れるほど近くに由美さんが座った。
※元投稿はこちら >>