(・・・またか・・・)
さらに半月が経っていた。
その日も俺は心の中で悪態をつきながら、また休憩室の窓から廊下を見ていた。
これで何回目だろうか・・・そこではまた、山崎店長が由美さんを壁に追い詰めていた。
由美さんは両手を胸の前で組み、壁に背をつけて俯いている。
そんな由美さんの顔を、店長は嫌味な顔でニヤニヤと笑いながら覗き込んでいた。
由美さんは唇を噛みながら顔を振っていた。
けれど何度目かの店長の囁きに、悲しそうな顔をして頷いていた。
店長の手が由美さんの腰に伸び、抱き寄せるようにしながら歩き始めた。
そしてまた、『事務所』と書かれた扉の向こうに消えていった。
「・・・おい、そろそろ行くぞ」
また大学生の先輩が声をかけてきた。
そして俺は休憩を終え、また重たい段ボールを運ぶ仕事に戻っていった。
冷たくて重たい荷物を運びながら、仕事をサボる大学生への怒りよりも、店長に腰を抱き寄せられて部屋に消えていった由美さんの事を考えていた。
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