「それで・・・由美さんの借金は無くなったのか?」
後姿に話しかけると、横山は立ち止まった。
わざともったいぶるように、ゆっくりと振り返る。
「・・・言ったろ?俺が約束したのは『待ってやる』ってだけだよ・・・」
そう言って、ニヤニヤと笑った。
「ま、減ってはいってるよ・・・増えるときもあるけどな・・・」
「増えるって・・・じゃぁ今でも・・・」
「本当に知りたいとは、もう思ってないみたいだけどな・・・旦那より自分の事でいっぱいいっぱいだろ・・・」
「・・・じゃぁ・・・もしかして、ちゃんと調べてないことも知ってて・・・」
横山は左目の眉を上げた。
何かを考えようとして、すぐに止めた。
「・・・・ま、今でもちゃんと、俺の手に1万円を乗せてくれるよ」
そう言ってニヤニヤと笑い、体をスーパーに向けた。
俺には、もう何も言葉が思いつかなかった。
楽しそうに肩を揺らし歩いていく横山を 何も言えずに見送った。
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