その日、廊下を歩く横山を呼び止めた。
横山は無言で振り返り、何も言えずに固まる俺を見ていた。
普段なら相手にしないだろう16歳のアルバイト・・・
けれど雰囲気の異様さは伝わったのか、すぐに立ち去ろうとはしなかった。
「なんだよ、用があるなら早く言えよ」
「用ってゆうか・・・その・・・」
横山は明らかにイライラしていた。
俺は何をどう言えばいいのか分からず、ようやく喉から声を出した。
「あの・・・事務所で・・・」
その単語に、横山の眉がピクッと反応した。
さっきとはまったく違う視線を俺に向ける。
「由美さんと・・・その・・・」
たったそれだけで、横山は全てを理解したようだった。
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