その夜は、久しぶりに6人で集まった。
暦の上では絶対に秋なのに、えらく熱い夜だった。
全員が揃うのは、もしかしたら今夜が最後になるかも知れない。
そこには誰も触れないが、全員がそう思っているだろう。
とにかく、楽しく一夜を過ごした。
俺と由美専用の愛の巣となった狭いアパートで、小さなテーブルの3方向にそれぞれ座り、並んだ食事を楽しんだ。
俺を含め成人メンバーは酒も飲み、お互いのエピソードを罵りあっては笑い合った。
優子は健二の隣に座り、自分が食べるより先に健二に食べさせていた。
一口の大きさから飲み込むタイミングまで理解しているような、慣れた手つきに少し嫉妬した。
今年で高3の優子は、2学期に入ってすぐ学校を辞めた。
真偽は分からないが、理由はシンプルに「金が目標まで貯まったから」らしい。
金額は聞かなかったが、「在校生の8割は食った」とゆう実績を思えば なかなか万円だろう。
相変わらず漁った社会人も相手にし続けてるみたいだったが、おそらく夏休みのバーゲンセールが貯金にトドメを押したようだ。
「あれで在校生の8割は食ったね」と言った時の顔は自慢気に笑っていた。
健二も今月末には会社を辞め、まずは沖縄に行くらしい。
理由はこれまたシンプルで、「今から寒くなってくるから」
日本全国を転々と、面白おかしく進むそうだ。
「そんな事をして保つほど貯まったのか?」とゆう問いには、「無くなったら稼ぐ」と答えた。
「歳をとったら苦労しそうだな」とゆう嫌味には「そこはちゃんと考えてる、目標1億!!」と言って高々と人差し指で天を指していた。
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