少女は楽しそうに頬笑み、私の手を引いて歩いた。
駅に向かう人に逆行しながら進んでいく。
すれ違う人は、少女を見て何を思うだろう。
そんな事を考えながら歩いた。
真面目そうな少女だと思うだろうか。
それともキリッとした眉に、ぷっくりとした唇に、鼻筋の通った美しい顔に魅力を感じるだろうか。
少なくとも、この校則通りの丈のスカートの中が、あんなにも悍ましい状態だなどとは思いもしないだろう。
すれ違う人は、私を見て何を思うだろう。
真面目だけが取り柄の中年女。
35歳の今まで彼氏を作ったこともない。
遊びもせず、勉強だけの人生だった。
いつかのテレビで女芸人が、30歳を超えた自分自身を『腐った処女』と自虐していたが、この年になってまったくだと思う。
今から自分に何が起こるのか・・・
この、男性に触れられるために生まれてきたような美しい少女が何をするのか・・・男性に触れられた事すらない私に、想像できるはずがなかった。
いつまでも答えの出ない問いを諦め、私はただ手を引かれて歩いていった。
日が落ち、ゆっくりと闇に浸食されていく道を歩く。
交差点の向こうには、大きくて四角い建物が・・・よくある形の校舎が見えていた。
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