(・・・・・・ったく・・・・アイツ、また見てた・・・)
優子は心の中で悪態をついた。
もちろん隣の男子生徒・・・中島に向かってだった。
背は優子と同じくらいで160センチ程度、けれど体重は100キロに近いんじゃないかと思うほど太っている。
いつもベトベトと汗をかき、誰と話すときもオロオロとしている。
優子と同じように一番後ろの席が定位置になるほど抱えている問題とは、もちろん『イジメ』だった。
16歳の男子生徒は、俯いたまま あたふたとしている。
怯えてオドオドしている雰囲気が、優子の心をイラつかせた。
それは、アダルトショップの店長に抱いたのと同種の感情だった。
確かに怒りなのだが、性的な感情に基づいた心の動き。
しかしそんな分析は、16歳の少女がするはずはなかった。
何かしてやりたい・・・虐めたい・・・優子が認識できたのはその程度までだった。
ニヤリと笑う。
黒板に向かって授業をしている教師の背中を確認しながら、隣の机の鞄に手を伸ばす。
驚き、けれど何もできない中島は、自分の鞄から携帯が取り出されるのを見ていた。
優子の指が中島の携帯を操作していく。
そしてニヤリと笑うと、中島の机に携帯を戻した。
画面には通信アプリが表示されていた。
意味のないスタンプの表示された上には、カタカナでユウコと書かれていた。
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