「・・・あ・・・・・あのさ・・・」
ようやくソレを言えたのは、あの夜から5ヶ月もたった平日の夜だった。
夕飯を食べ終え、キッチンで洗い物をする妻の後ろ姿を見ながら声をかける。
「ん?・・・・・なに?どうかした?」
その時も妻は、いつもと同じ声で いつもと同じ反応を返してきた。
水道の水が食器で跳ねる音がしていた。
「あ・・・あ、いや・・・・・週末なんだけど・・・・・また、健二を・・・呼ぼうかな・・・・・って思ってさ・・・・」
「・・・・・・は、はぁ?・・・・・・まさか今週?・・・・・・ちょっと急じゃない?」
声色は いつも通りのように感じた。
けれど、その一つ一つに不自然な間を感じる。
「あ、いや・・・・・お前が嫌ならやめても」
「イヤとか言ってないでしょ!!!」
少し食い気味に妻が叫んだ。
不自然な大声だった。
妻もそう思ったのか、そこからはまるで取り繕うような声で話した。
「イヤってんじゃないよ・・・ちょっと急かなってだけ・・・良いよ・・・呼ぼうよ、健二君・・・」
・・・・・くん?
・・・こんなにも勝気な妻が・・・自分よりも年下の男に・・・
・・・・・・・・・くん?
俺は、自分の心臓がトクンッと跳ねるのを感じた。
※元投稿はこちら >>