〔京子の旦那 ②〕
あれから2週間くらい、孫を連れて帰省していた子供達も帰ったらしく、豊川さんちは2人だけの生活に戻った。
旦那さんは じっくり考えて 9月1日に結論を出して帰って来いと言われてるらしい。
『夏休み?』と豊川さんに揶揄われていた。
そんな豊川さん、今日はやけに饒舌だった。
叔母さんが握る受話器から 時折豊川さんの声が漏れ聞こえた。
『‥でも林のご飯とかあるし そんなに早い時間には行けないわよ』
『・・・・・』
『‥そう、ちょっと待って 聞いてみる』
『京子ちゃんがね 夕飯どうか?って、どうする健ちゃん?』
「構わないけど‥」
『先に行っててくれる?、叔父さんのご飯もあるしさ、ダメ?、イヤ?』
「イヤじゃないけどさ‥」
『イヤじゃないけど 何ぁに?、お願いね?』
「間が持つかなぁ?」
「ま、いいや、わかった」
一足先に 豊川さんの家を訪ねた。
『はぁい、お幾らかしらぁ?』
『?????』
『ヤダ、健ちゃん!』
『ピザ屋さんかと ばっかり ゴメンねぇ』
『上がって上がって! ビールで良いでしょ? 上がって!』
何だ? このテンション?
やけに と言うより 異様な程の上機嫌、どうか してしまったのか? と疑う程の、はたまた 変な薬に手だしたか? と思う程の。
「こんばんわ、お邪魔します」
案内されたのは いつものテーブルではなく 応接間。
「いらっしゃい」
「先日は ご足労頂いて‥、本当にありがとうございました」
旦那さんは わざわざ立ち上がって 深々と頭を下げている。
「ヤメましょ、その話しは‥」
「それより どうしたんですか?、きょ、奥さん、今日はやけに‥」
「それが私にも‥」
「昼前から ずっとあの調子で‥」
「‥そうなんですね?」
「他所の奥さん捕まえてなんですけど、ちょっと おかしいですよね?」
「ええ」
「私も???だらけでして」
『何ぁに2人して‥』
『私の悪口?』
と豊川さんがビールを持って来てくれた
『はい どうぞ、ピザ そろそらだろうから』
そんな話しをしているとタイミング良くチャイムが鳴った。
『さ、食べよ食べよ』
豊川さんがピザを抱えて戻ってきた。
俺
「今日は やけにご機嫌ですね?」
「何か良い事でもあったんですか?」
京子
『ん?私?』
『それはねぇ ヒ ミ ツ、ふふ』
旦那
「昼くらいから ずっとこんな調子なんですよ」
京子
『いいから食べましょ』
『で?、寿子ちゃんは?、何時ごろ?』
「たぶん ‥」
俺が言いかけた時にチャイムがなった
『はいはい、ちょっと待っててぇ』
豊川さんが 玄関に迎えに行った
『それにしても短いスカートね』
『いいじゃない夏なんだしさ』
『それは そうだけどさ 短すぎない?』
『それに 今日は いやにテンション高くない?、どうしちゃったの?』
『ヒ ミ ツ!』
『寿子ちゃんもビールで良いい?』
そんなやりとりをしながら 2人が戻ってきた。
確かに 異様なテンションの豊川さん。
なすすべ無く オロオロしてる旦那さん。
そこに叔母さんの登場。
この先 どうなる事やら‥。
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