「・・・じゃぁ、私もずっと入れとくね」
「あ、ダメだよ」
イキ狂い、30分ほど白目を剥いていた紗季が、ようやく落ち着いてから言った。
そしてその言葉を否定した俺を、キョトンとした目で見上げた。
「初心者用とはいえ、大きめを選んだからな・・・いきなりずっと入れっぱなしは、何かあったらまずいだろ?・・・紗季だって、本当は不安だろ?」
紗季は情けない顔で、まるで悪い事を認めるような雰囲気で小さく頷いた。
「そうだな・・・今日は、今から家に帰るまで・・・次は、夕食を作る前から風呂に入るまで、にしようか・・・寝る前には外したら良いよ」
「・・・でも・・・由紀には・・・」
「嘘だよ」
「・・・え?」
「昨日は渡しに行けたのが8時を過ぎてたけど、寝る前には外すように言ったよ。今日は家族でショッピングモールだって言ってたから家を出る直前から帰ってくるまでって言っておいた」
「・・・そうなんだ」
「そうだよ・・・いきなりは不安だし、何かあったらイヤだろ?・・・実行はさせるけど・・・大切にしないとな?」
紗季は、まるで少女のように照れた笑みを浮かべ、ギュッと抱きついてきた。
俺は胸の上の紗季の頭を撫でながら、口から溢れそうになる言葉を飲み込んだ。
『それに・・・それじゃ、モッタイナイじゃないか・・・』
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