覚悟はしていたが、やがて蓉子は夫から、身体を隠す手を外せと命じられた。
蓉子だけ胸もあそこも晒させるのは可哀想だと思ったのだろう、玉置夫人も前を隠す手を外し、いかにもモデルらしく両手を頭の後ろに組んだ。
その姿勢は、いかにも美しい女性の裸体を見せます、と言うような積極的感じがしたが、反対に蓉子の両手を身体の脇に付け、恥ずかしさに肩をすくめたような姿勢は、不馴れな女性の羞恥と言う感じから、それなりに美しかった。
「奥さんのポーズは、両脇までも貴方にお見せしますって感じで良いですね。」
克司がそう言うと、玉置は嬉しそうに
「今の女性は若い時から簡単に脇毛を処理しますが、ちょっと前までは剃り味の悪いカミソリで手入れするのは大変だったそうです。
そうやってきれいにした脇を好きな男性に晒すのも、女の可愛さだと思っています。」
克司は、自分の妻に同じポーズを取るように命じた。
蓉子はおずおずと両手を頭の後ろに組んだが、やはりぎこちなく、美しさよりいたいけな感じが強かった。
玉置が言った。
「お宅の奥さんに似合う立姿のポーズを教えてあげましょうか?
しかし、手首を縛ることになりますよ。」
もちろん克司は、
「ぜひ、お願いします。」
と受け入れた。
それから5分後、全裸の蓉子は手首で縛られた両手を鴨居に結びつけられていた。
もう裸体を手で隠そうにも、その手が縛られてるのだ。
「私はこれをアンドメダのポーズと呼んでいます。」
克司もアンドメダの事は簡単には知っていた。
彼女ギリシャ神話に出てくる王室のお姫様で、母親である女王が、自分の娘は海の神の娘より美しいと自慢したため、神の怒りを買って国土は荒らされた。
その神の怒りを解くために、アンドメダは父王や母である女王、その他大勢の家臣や国民の見ている前で、ほぼ裸体で海辺の岩場に鎖で繋がれ、海から来る怪物の生け贄にされそうになるのだ。
結末はぎりぎりのところで、英雄ペルセウスが怪物を退治して救われ、彼と結婚するのだが、
それまでには、野外の、それも荒波が打ち寄せる岩場に、美しい裸体を鎖で繋がれて大勢の人に晒されるのだ。
まだ男を知らないお姫様にとって、どれ程恥ずかしく辛かっただろう。
しかもその羞恥は、怪物から食べられると言う悲劇でやっと幕を下ろす筈だった。
幸い英雄の登場で命は助かったが、鎖を切られて助けられる時も、初めて会う凛々しい男性に、間近で裸体を見られる。
当時の女性の結婚は、今より大分若かったから、アンドメダは多分、今なら中学生位ではないだろうか。
現在なら、ハードなロリータの野外露出かつSMと言うべきだろう。
玉置はそのように説明を加えた上で、
「今の奥さんの姿、まさにアンドメダですよ。
奥さんの羞恥の美しさは、思春期の少女のままです。
旦那さんもそう思うでしょう。」
と誉めてくれたし、今は夫の横に侍っている玉置夫人も、
「本当に..、奥さん、可愛いわ..。」
と感動したかのような声を出したのだった。
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