玉置と言う名前の彫刻家は、若い女の子をモデルに使うのは好まないと話した。
特に最近の、足が長くプロポーションの良い女性をモデルにするつもりは無く、むしろ昔の大正、昭和の日本女性に美しさ、温かさ、優しさを感じ、それを彫刻と言う形で大勢の人に見てもらいたいと考えていた。
「貴方の奥さんは、そのイメージに合うんですよ。
いや、それと..、おたくの奥さんは、こんな言い方は失礼かもしれないが、熟女なのに童女のような可愛らしさがあるんですよ。
それを是非、作品に表したいんです。」
この説得に、克司は全面的に納得した。
そして、そんな妻の姿を、彫刻と言う形で残してもらうのも、ありがたい事だと思った。
「そうですか。
うちの妻をそこまで認めてくださるのなら、妻をモデルに使ってください。」
夫の言葉に、横で聞いていた蓉子は思わず
「あなた..!」
と夫の腕を掴んだが、夫は
「蓉子。
主人が決めたことだ。
この方のモデルになりなさい。」
と断定的に言い渡した。
「でも..、でも..、私なんか..」
なんとか夫の決心を変えさせようと思うのだが、心の半分以上は、
「ご主人様のご命令..、仕方ないわ..」
と諦めた状態だった。
温泉から上がり、お互いの連絡先を交換しあって別れた後、2週間後に蓉子は夫と玉置夫妻の前で、一糸纏わぬ裸体を披露することになった。
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