「よし、きれいになった。
これで良いだろう。」
克司がそう言って蓉子のお尻から手を離すと、途端に蓉子は、四つん這いの姿勢からドサッとその場に倒れ落ちた。
目は軽く閉じられ、「ああ..」と呟いている様子は、逝った時と同じだった。
克司は力無く岩の上で転がっている妻の身体に手を掛け、自分の腰を落とすと同時に、一声「うんっ!」と気合いを掛けると、なんと肥り気味の妻の身体を、自分の肩に担ぎ上げてしまったのだ。
結婚当初40キロ程度だった蓉子だが、今はもう50キロ近い筈だ。
それが夫の肩に担ぎ上げられたのだ。
その担ぎ方は、お姫様だっこのように優しい姿ではなく、むしろ暴漢に誘拐されているかのようだった。
蓉子は夫の変わらぬ逞しさに驚くと共に、その荒々しい扱いこそ、今の自分に相応しいと嬉しいと思った。
夫から時々抱き上げてもらったことがあった。
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