大浴場は昼間と全く異なった赴きだった。
脱衣場は明るい照明で照らされ、磨かれた木目の床や脱衣棚が清潔感と共に温かみを醸し出している。
克司と蓉子は、並んだ脱衣棚に浴衣を脱いで入れた。
もう誰も入ってくる入浴客はいない筈だ。
克司のトランクスは、もう高くテントを張っていたが、それも直ぐに脱ぎ去った。
40代の男性にしては、逞し過ぎる勃起角度だった。
硬さも若い時と変わらない自信があった。
克司はわざとそれを、妻に向けて見せつけた。
蓉子はそんな夫のぺニスを見て、これまで何度も受け入れているにも関わらず、小娘のように「大きいわ..。最初に入ってくる時は、やっぱり..」
とほんの僅かだが、雄に対する本能的な恐怖も心の隅に感じた。
しかし何よりも
「この人は、私を抱きたいって思って、こんなになってくれてる。」
と言う充実感、満足感と
「あれで、私の中を虐めてもらったら..、どんなに気持ち良いことか..」
と言う快楽への予感が心のほとんどを占めていた。
蓉子はノーパンのまま、ここまで歩いてきた。
上がった時に穿くショーツは持たされていない。
蓉子がただ一枚身につけた浴衣を脱ぐと、すぐ克司から見て愛らしくてたまらない全裸となった。
夫しか見る人はいないと分かっているのに、やはり小さなタオルで身体の前を隠した。
大きな勃起をこれ見よがしに剥き出しにしている夫と正反対の、羞恥の姿だった。
夫の方は、逞しいぺニスを剥き出しにする代わりに、妻の剃毛に使うとための何本かのカミソリとローションを持ち込んでいた。
二人が露天の大浴場に入ると、そこも昼間とは違う世界だった。
あちこちに淡い色合いの照明があったが、明るさは強すぎはせず、お湯から上がる湯気に絡んで、ますで夢の中の世界のような幻想的な風景を醸し出していた。
二人は掛かり湯をした後、一度湯に浸かって温まると、昼間は大勢の単独男性の視線が障害となって出来なかった、広い浴場全体の探訪をしてみた。
昼間は築山の向こうまで行かなかったが、そちらまで二人で並んで歩いて行く。
大浴場の中とは分かっているが、まるで野外を全裸で歩いてるかのような、不思議な非日常感を、蓉子も感じていた。
本当に裸で外を歩くのは、どんな気持ちだろう?
もちろん実際にそんな事をするのは、リスクが大き過ぎて簡単に出来る事ではない。
しかし、今蓉子は、それに近いものを感じていた。
蓉子は女性らしく、野外、それも夜の世界に裸でいることに、軽くだが子供じみた恐怖も感じた。
か弱い女の私が、裸で夜に外にいたら、闇の中から現れる得体の知れないもののけから襲われて、拐われてしまうのでは。
拐われて、犯されて、そして食べられるかもしれない。
そんなファンタジー染みた子供の時に思ったような懐かしい恐怖心だった。
しかし今、私の横には、逞しい夫がいてくれる。
あの逞しい男性器を勃起させて。
あの逞しさを見たら、私を襲おうとしたもののけも、恐れをなして逃げていくわ。
そして、私があの逞しいもので、貫いてもらって..。
これから夫から剃毛され、あのぺニスで深々と貫かれると言ういやらしい予感と共に、蓉子はそんな空想を楽しんでいた。
二人が築山を回って奥に行くと、想像しなかった面白い場所があった。
岩風呂の中に、小さな洞窟のようなものが作られている。
中に入ってみると、照明も点いていたひ、お湯から上がって休憩できる程度の平たい岩もあった。
克司は、ここで妻の剃毛をすることにした。
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