「よし、良いだろう。」
克司が蓉子の下半身から顔を上げた。
慌てて蓉子が上半身を起こそうとするのを止め、下半身に散った陰毛を下の新聞紙に払い落とす。
下腹に散った陰毛は簡単に払い落とせたが、太股の間に散った陰毛は、膣から流れたべとべとした粘液に絡み付き、簡単には落とせない。
「あの、もう良いです。
これでショーツを穿いて行きますから。」
蓉子がそう言うと、克司はちょっと考えて、こう言った。
「下は穿かないで大丈夫だろう。
泊まりはもう一組しかいないし、
出会ってもお前がノーパンだって分かりはしないよ。」
昼間、ショーツを盗まれて、やむを得ずノーパンで部屋に帰ったが、夜もノーパンで旅館の廊下を歩くのだ。
蓉子はまた頬を赤らめた。
二人とも、浴衣に半纏を着て露天風呂へと向かう。
確かに泊まり客がいる気配は、ほとんどしない。
しかし、廊下で従業員の女性二人とすれ違った時は、蓉子はやはり緊張し、つい立ち止まってしまう。
「今晩は、お風呂ですか?
どうぞ、ごゆっくりお入りください。」
「うちのお風呂は、あまり夜入る方がいないようですが、照明等も凝ってるんですよ。
どうか、お楽しみください。」
そう挨拶されて、克司が軽く頷いた。
蓉子は陰毛の大部分を既に失っているのと、慣れない浴衣の上、その下がノーパンのために、つい股間が心細く、何だかその部分が冷たい気がして、つい腰を引くような反って不自然な姿勢になっていた。
さらに温泉の方に歩いていると、渡り廊下を歩く所で、先程の従業員の声高な話し声が風に乗って聞こえてくる。
「さっきの旦那さん、なかなか良い男じゃない?」
「あんたの亭主と比べたら、誰だってね。」
「奥さんは、私たちと同じ位の歳みたいだけど、いやにおどおどしてるみたい?」
「あんたが、お風呂で裸見せ合って、その後エッチするんでしょう、って顔に出してるからよ。」
「そうかもしれないけど..、初々しい感じもして、私から見ても可愛い感じの奥さんだったわね」
二人の声高で猥雑な話し声は、蓉子の耳にも聞こえた。
自分がおどおどしてるように見られるのは、ノーパンでこれから剃毛されると言う羞恥が、そのように見られたからに違いない。
それを見透かされたかのようで、たまらなかった。
しかし、自分の夫を良い男と言われたのは、妻にとっては、例えようもなく嬉しいことだ。
私達に媚びようとして言ったのではなく、別れた後に言ってるのだから、本当にそう思っているのだろう。
蓉子は夫の浴衣の袖を、さらにギュッーと強く握った。
克司にしてみても、それは同じだった。
女性からでも、自分の妻が可愛いと言われたら、夫として嬉しくない訳がない。
その妻から、浴衣の袖をギュッーと握られてる。
克司は、蓉子の肩に手を掛けて、それからお風呂まで、抱き抱えるように歩いて行った。
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