旅館の夕食は素晴らしかった。
部屋に仲居さんが、幾つもお膳を運んで来てくれ、暖かい物は暖かい内に食べられるようにしてあった。
克司は仲居さんに、温泉は夜何時まで入れるか尋ねた。
「11時までなんです。
元は24時間入れたんですけど、今はお客様が少なくて、深夜は閉めちゃうんです。」
と済まなそうに言う仲居さんに、克司は
「今日は何組くらい泊まり客がいるの?」
と聞くと、
「お客様以外は、かなり高齢のお客様1組だけなんです。
コロナだから仕方ないんですけど..」
と寂しそうに答えた。
旅館の経営は大変なのだろうが、克司にしてみれば、あの広い露天風呂に、夜蓉子と二人だけで入れると分かった。
それも剃毛と言う淫靡な儀式をしながら。
蓉子もそれを考えていたらしく、仲居さんがいるのに、顔を赤面させてた。
仲居さんが部屋を出ると、蓉子はいそいそと夫のお給事をした。
ご飯をよそおい、様々なお料理のうち、おろし山芋に生卵が落としているものや、柔らかくジューシーなミニステーキ等の性が着きそうで美味しそうな料理は、自分の分まで夫に食べるように勧めた。
その様子は初々しく、久しぶりに見る妻の浴衣姿も、全裸とは違う色気があり、克司は食事も妻の優しさも堪能した。
食事が終わり寛いでいると、先程の仲居さんがお膳を下げに来た。
そして布団を敷いてくれる。
この布団で今夜、二人が愛を交わすのは分かりきっている筈..。
蓉子は仲居さんに対しても、恥ずかしくて顔を向けられなかっあ。
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