二人は何事もなかったように職場に戻った。
隣のデスクの同僚が、すかさず声をかけてきた。同期入社の松永由紀だ。
「ねぇねぇ、梶くん、倉庫で課長に説教でもされてきたのかな?それとも誘惑されちゃったかな?
あのオカタイ課長に限ってそれはないか」
「あぁ、資料探しを手伝わされただけだよ。俺は背が高いからな。」
「ふ~ん、だけど課長が直々に資料探しかぁ…」
由紀は怪訝な顔をしているが、俺は課長席をさりげなく見た。
目が合った…課長もこちらを見ていた。明らかに懇願している目だ。
リモコンのスイッチを入れて欲しいんだろう。
フフッ…もっとマゾれよ。まだまだ入れてやんないからな。
「梶くんっ!ちょっと!」
ついに課長に呼ばれた。もう我慢できないのか。
課長席の前に立つとメモを見せられた。
「御主人様、スイッチを入れてください…」
メモの文字とは裏腹の言葉を浴びせられた。
「最優先でやって!」
「わかりました、課長のご命令には逆らえませんので」
「よ、よろしくね」
席に戻るとまたまた由紀が声をかけてきた。
「梶くん、何かやらかしたんじゃないの!?課長にイジメられてるんなら相談に乗るわよ。
私たち同期なんだし。それに…」
「それに…?」
「ううん、なんでもないの。とにかく困ったことがあったら相談してね」
「おぅ、ありがとう、由紀は優しいな」
課長がこっちを見ている。っていうか睨んでいる感じだ。
カチッ…
ズボンのポケットの中のリモコンのスイッチを入れた。強弱の設定は…最強にした。
課長が身震いをしたのがわかった。遠隔での強い刺激の悦びを満喫しているようだ。
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