スミレは専務に別れを切り出せずにいた
ジローの言葉が頭に浮かぶ
「専務は社長にはなれない」
「あの人の悪事が社長にバレた」
そして
「泥舟に乗って欲しくない」
「泥舟・・・」
いつから 専務にときめかなくなったんだろう?
ジローのせい? ううん 違う
彼と出逢わなくても・・・
でも 私を強くしてくれたのはジローなのかもしれない
もし自分が別れ話しをしたら 追い打ちをかける事になるかもしれない
「ハァ~」
スミレは深いため息をついた
全てが動き始める
専務が社長室に呼ばれた
「いよいよか・・」
満面の笑みの専務が社長室へ入る
「なんなんだ!これはぁ!!!!!」
専務の怒号が響く
「アナタの横領の証拠よ」
クレハ社長は淡々と話し始める
顔を真っ赤にしてワナワナと震える専務
「訴える事も考えたけど アナタの今までの会社への貢献を思って それは止めたわ」
社長を睨みつける
社長は話しを続けた
「会社は辞めてもらいます 解雇では無いので 退職金は出します でも そのお金は 横領分と相殺と言う事で・・・足りない分は これまでのアナタの会社にもたらした功績も・・」
「もういい!」
社長の話しを遮った
「長い間 お世話になりました」
一礼をし部屋を出る専務の背中に社長が声をかける
「残念だわ アナタ程の人が」
専務が企画開発へ来た
「五十嵐 まんまとやられたな」
「私はなにも・・・」
「ふっ・・・黙れ」
心配そうに見つめるスミレ
「荷物は明日取りにくる」
そう言い残し専務は部屋を出た
翌日
五十嵐に辞表を提出するスミレ
「出来れば残ってもらいたいんだがね」
「こうなっては無理ですね」
「そうか・・・」
残念そうな五十嵐
「如月君 荷物運ぶの手伝って」
「別れ無いんですね?」
「ねぇ 昨日のあの人の目 見た?」
「え?」
「あのギラギラした目」
「・・・」
「怒りじゃない ギラギラした野心的な目 あの目に憧れたんだよなぁ・・・」
「そうなんですね」
「昨日ね・・・あの目を見た時・・・少し・・濡れちゃったの」
頬を染めて話す スミレが 素敵だった
「如月君 私は決してあの人を泥舟には乗せない」
「はい」
「これからは三人で頑張るわ」
「三人?」
スミレがはにかみながらお腹に手を当てた
タクシーに荷物を積み込む
先に乗っている元専務
スミレが振り返る
「如月君・・ありがとう・・・ 貴男と出逢えてよかった」
スミレがタクシーに乗り込む
後部座席の窓が開く
「如月・・ジローだったな?」
元専務
「はい」
「お前の事は 一生忘れないぞ」
そう言ってニヤリと笑った
この目か・・・
たしかに 男の俺でもゾクっとするような 魅力的な目だった
走り出すタクシーに 俺は一礼した
「ジロー 今晩時間ある?」
アカネに誘われた
夜
「ねぇ スミレ いい顔してたよね?」
「ええ とても」
「赤ちゃん・・・」
「聞きました」
「不安?」
「ま、まさかぁ」
そうだった 今の今まで考えてなかった!
俺の?
まさか 聞く訳にもいかないし 聞いてもスミレは答えないだろう
「あ~ いい~ あ~ ジロー あ~ もっと~ あ~」
俺の下で乱れるアカネ
「あッあ~ イッちゃう~ あ~ ダメダメ イクイクイクあ~~~」
バックから
「あッあ~ 当たる~ 当たるの~ あ~ イッいい~」
パンパンとリズミカルに突きまくる
「アヒ アヒ アヒ いい~
あ~ あ~」
さらにスピードを増す
「あッあッあッダメダメダメ あ~ イッ!くぅ~~~」
ぐったりと倒れ込むアカネ
「ジロー・・・アレ・・お願い」
俺はアカネの足を抱え チンポを深く深く 挿し入れた
「あッあ~ いい~ コレいい~の~」
コンコンと子宮口を突く
「あたる~ あだってるの~」
「ココか?ココか?」
「ソコソコ あ~ あッあッあッあ~いい~ イッちゃうイッちゃう あぅあぅあぅあ~ イク~~~」
「今日は随分と激しいね」
「う~ん スミレへの嫉妬かな?」
「嫉妬?」
「あんな いい顔してるんだもん」
「・・・」
「ねぇジロー? 私が五十嵐と別れたら どうする?」
「アカネ 一緒に・・・」
「て!冗談よ 冗談! 私はデカちんとは 別れませーん」
アカネの切ない笑顔は何を意味するんだろう・・・
常務派は大騒ぎ
みんなが満面の笑みを浮かべている
専務派だった人間は 常務派に取り入る者 諦めて転職先を探す者 世捨て人のように虚ろな目をしている者 様々だった
会社に多くの車がやって来た
「来たか」
窓の外を眺めていた五十嵐が呟く
20名はいるであろう男女が会社に乗り込んで来る
社員達は騒然となった
数名が企画開発にやって来た
「全員 動かないでください!」
「これより家宅捜索を始めます!」
「PCその他 動かさないで!」
常務の部屋
社長と刑事が乗り込む
「贈収賄及び業務上横領他の件で家宅捜索させていただきます!」
青ざめる常務
「な、なんの事だ!」
「常務・・・全て調べはついているのよ」
冷静な社長の言葉
「ば、バカな・・・」
「バカはアナタです!」
「そ、そんな・・・」
部署を調べる刑事達を眺めている 五十嵐と俺
今にも笑い出しそうな五十嵐に冷や冷やする
全ては順調だ
俺達は階段を登り始めた
つづく
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