ふだんの嫁の表情からは何の変化も感じられず、舞の話の真偽はわからなかった。
嫁にしてみれば妹のお腹には夫の子が宿り、週一で夫と妹が寝ている現実が面白いはずはなかった。
だがそもそも受験のために妹を同居させたのは嫁だ。俺が望んで妹を妊娠させたのでもない。
それとも、俺が知らないだけで、もともと嫁には不倫相手がいて、舞が教えてくれなければ、
ずっと俺はそれを知らずにいたのだろうか。
嫁に直接それを聞く勇気は俺にはなかった。嫁と妹との関係も悪くなるし、もし離婚にでもなれば生まれて来る子を
育てることが大変になる。下手をすると二人の女性を失い、養育の義務だけが俺に残るかもしれない。
かといって何も聞かなかったふりを続けるのも無理だった。いろいろ考えた結果、とりあえず不倫が真実かどうか、
真実ならばどんな相手なのかを確かめることにした。いきなり興信所に頼むと費用が大きくなると思えたので、
盗聴器を買って嫁のハンドバックに入れてみることにした。ネットで調べて、ボールペン型のものと、
サイコロ型のものを購入した。言われなければ盗聴器だとはわからない物だった。
A子の家に泊まりに行くと言った日に、俺は盗聴器をハンドバックの奥に仕込んだのだった。
説明書通りなら、1回の充電でまる2日録音できるはずだった。
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