翌日は日曜だった。遅い朝食を食べながら昨夜のことを妻に聞いてみた。
「楽しかったよ。先生の少年時代とか、ご両親のこととか話聞かせてもらったの。ドクターを目指す前は相当なやんちゃ坊主だったんだって。」
「受精できたの、昨日は? セックスはしたの?」
「してないよ。してない。昨日は妊娠しない日だったし、お酒飲んで、はじけてた。」
妻はまだスマホを見ていないようだった。俺は昨夜見た動画を消去はせず、自分のパソコンにコピーを移しておいた。
妻が時々嘘を言うのが心配だったたが、精子提供での妊娠というデリケートな問題だから仕方がないと思うようにして、子供を授かるまでは
なるべく何も言わないことにしていた。これも子供ができるまでの事だと。
それから何日か過ぎて排卵日がやってきた。その日は祝日と重なっていた。妻が
「今晩は妊娠できる日なの。先生の家にお泊りしてもいい?」
と聞いてきたとき、再び俺は衝撃を受けた。
「えっ! 何で! 泊まる必要あるの? 」
「だって回数しないと妊娠しないのよ。月に1度しかないチャンスだし、早く妊娠して先生から離れるほうが、あなたにとってもいいと思うの。」
なるほど、と、俺は納得させられてしまった。妻が妊娠すれば「先生」と妻はセックスしなくなる。
「わかったよ。子供ができるまでは俺も我慢するよ。」
俺は仕方なく承認するしかなかった。それに50過ぎの外見も普通の男に、若く美しい妻が惚れるはずはないと単純に思っていた。
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