夜9時ごろクリニックの先生から妻に電話がかかってきた。ドナーから提供を受けた精子が残っているので、明日もう一度
クリニックに来て治療しないか、という誘いであった。明日の治療は直接子宮に細いチューブを入れて、受精を試みるのだそうだ。
痛みがあるといけないので軽い麻酔をかけるというのだ。
「あなた、明日お昼にクリニックへ行ってもいい?」
と妻が聞くので、俺は
「いいよ。行って来たら。」
と返事した。でも夜中に電話をかけてきたことに、俺は少し違和感を感じていた。
「明日はクリニックで治療を受けるんだよねえ。」
念のために聞いたが
「そう言ってたわ。明日はドナーは立ち会わないから、今日みたいにホテルでしないんじゃないかな。」
妻の説明に俺は何となく引っ掛かりながらも納得していた。
次の日の昼過ぎ、俺は念のため妻の掛かっているクリニックへ行くことにした。
そこはおしゃれな感じの建物の不妊専門のクリニックだった。昼1時ごろ行くと、受付には一人女性がいるだけで、待合には誰もいなかった。
受付嬢に今は昼休み中だと言われたが、妻の名前と自分が夫でらることを免許証で示すと、ちょうど今、奥の治療室で妻の治療を行っている
最中だとのことだった。場所を聞いて廊下の奥に進むと処置室と書かれた入り口があった。
俺は入り口で、「すみません。○○です。妻がお世話になっています。」と言いかけたのだが、戸の向こうからギシギシと変な音が聞こえてきた。
俺が静かに戸を開け、その奥のカーテンから覗くと、とんでもない光景が目に飛び込んできた。
婦人科用の診察台に乗せられ、両脚を拡げられた妻の股の間で、緑の手術着のズボンを足元まで下げ、尻を丸出しにした「先生」が腰を振っている最中なのだ。
妻の手には点滴のチューブが繋がれ、麻酔をかけられているのか、目を閉じたまま無反応の状態だった。
「先生、そこで何ヤッテるんですか!」
俺が思わず叫ぶと、びくっと飛び跳ねるように反応した「先生」は慌ててズボンを履きながら、
「いや、これは・・・違います・・・何というか・・・ち、違う・・・」
俺は怒鳴り声をあげた。
「何やってんだ、人の女房に!」
ブルブルと震えた「先生」は床に土下座した。
「申し訳ございません。お許しください。昨日の見たことが頭から離れず・・慰謝料で示談に・・・
そうだ。治療費はすべて無料にします。何なりとお申し付けください。どうかご主人、なにとぞご内密に。」
「先生」は50歳過ぎ、支離滅裂になりながら土下座し続けていた。
とりあえず麻酔が覚めるのを待って、俺は妻を車に乗せ帰宅したのだった。
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