続:寿子⑧
その日は 別の現場に挨拶に行った。
監督を訪ね 名刺を渡して「お世話になります」と挨拶をして 今後の工期や予定を聞いて、その日は そのまま帰った。
途中、昼食を済ませて戻ると 例の豊川さんが来ていた。
聞けば あの軽自動車は諦めるらしい、中古で良いので まだ動く内に 早めに買い替えたい そんな話しで、俺の帰りを待ってた、と。
その豊川さんと叔母さんと3人で あらかじめ電話をして三○に向かった。
出迎えてくれたのは 当然の様に小林さん。
『いつも この子がお世話になりまして』
そう 頭を下げながらも 叔母さんの視線は いささか攻撃的に 俺には見えた。
『先日のミ○カと お入れ替えでよろしかったでしょうか?』
『中古車をお探しとの事でしたが、ご予算など お伺いしてもよろしいでしょうか?』
『これだけ!』
『これ以上は出せないわ』
と、豊川さんは 小林さんの目の前に 手を大きく開いてみせた。
『かしこまりました』
『乗り出しで これですね?』
と、小林さんも手を広げた。
そう言って奥に消えると 暫くして 店長と2人で戻ってきた。
「あいにく当店には 今 ご希望に添える車がございませんで‥」
「これなどは 如何でしょうか?、厚○店の車なのですが‥」
と、ノートPCの画面を見せてきた。
その車はトッ○BJ、黒 車検ナシ 75000k AW CD 過給機付き‥etc、価格は49.8。
「当店のは 年式も新しく 走行距離も少ないので 少しお高めですが ト○ポは有りますので参考にして頂けるかと‥」
と、勧めてくる。
店長は豊川さんを連れて 実車を見に行った。
『いつも お世話になりまして』と、小林さんは叔母さんに名刺を差し出している。
『あら、そんなに お世話してるの?健ちゃん、どんな お世話してるのかしらね?』
『いえ そんな』
『この度は お買い上げ頂いて、本当にありがとうございます、その上 豊川様まで‥、本当に良くして頂いて‥』
『そう、そんなに 良くしてあげてるんだ 健ちゃん 羨ましいわぁ、オホホホ』
やっぱり叔母さんは 少し攻撃的だった。
『アレ良いわぁ、寿子ちゃん』
『乗り降りし易いし、中も広いし、アレと同じなのよね?』
豊川さんは上機嫌で戻ってきた。
「はい、基本は同じで御座います」
「如何でしょうか?、豊川様 林様」
と、店長は俺達の顔を見比べている。
「良いんじゃないですか?、豊川さんが 気に入ってるみたいだし」
「それに PCには 検ナシで498になってるけど50丁度で良いんでしょ?乗り出しで‥」
「良かったじゃないですか豊川さん、予算内で見つかって。ね?店長?」
と、言いだした俺に店長は
「申し訳ありません」
「流石に その金額では‥」
そう言いかけた店長に噛み付いたのは叔母さんだった。
『なに言ってんの?店長さん!』
『最初に言ったわよ これだけって!』
『それで出してきたんだから それ(50)で売らなきゃダメでしょ?、違う?』
『それとも小林さんから お話し聞いてなかったのかしら?』
『いえ、私は確かに‥』と言いかけた小林さんを遮ってつづけた
『貴女には聞いてないの!、店長さん? 聞いてたの?聞いてなかったの?どっち?』
「はい、確かに承っておりましたが‥」
「ですが‥」
と、当然 困惑している。
「確かにさ 車検だ諸費用だって 65とかにはなるんでしょうよ?」
「でも、叔母さんの言う事も もっともだと思いますよ、自信が有るから提示した、違いますか?、50にする自信があるんですよね?」
「ですが‥」
「なら こうしましょ?、ローン会社に今電話します 三○と揉めたから一括で払います、口座教えて下さい、って」
「どうします?、明日にでも振り込みますよ」
「少々 お待ち下さい」と店長は奥に消えた。
『良かったわぁ、いい車が見つかって』
『これも健ちゃんのおかげねぇ』
ウチに戻った豊川さんは それは たいそうな喜び様だった、結局 50 ローンを組んでくれるなら、で落ちついた。
『何か お礼しなくちゃね?』
『何が良い?健ちゃん』
『お礼なら ここに‥』
『こっちには知り合いも居なくて すんごい寂しがってるんで』
と、俺は股間を指差して笑ってみせた。
『もう健ちゃんたらぁ』
『それじゃ逆に 私が悦ばせて貰う事になっちゃうわよ、ねぇ寿子ちゃん?』
豊川さんは そうはにかんでいる。
『あらあら、お好きにどうぞ』
『せいぜい修羅場にならない様に お気をつけあそばせ』
と、叔母さんは キリッと俺を睨んだ。
『そうだ、夕飯 みんなで何処っか行きましょ?、ね?、今日のお礼に、良いでしょ?』
『私いっつも1人だしさ、ね?、付き合って』
との、豊川さんの提案で そのあと皆んなで出かけた。
盆か正月にご主人が帰って来た時に行くと言う お寿司屋さんに案内された。
掘り炬燵式の座敷、俺と豊川さんが並び 向いに叔父さんと叔母さんが座った。
『そうだ寿子ちゃん、健ちゃんの電話番号 教えといて貰えるかしら?』
『ほら、明日車届くって言うから 一度一緒に見て貰いたいし、出来上がって入れ替えるときにも出来れば一緒に行って貰いたいしさ』
『いちいち寿子ちゃんに電話して代わって貰うのも大変でしょ?、ダメ?』
『何で そんな事 私に聞くのよ』
『隣に居るんだから聞けば良いじゃない、電話番号教えてぇぇ、って』
と、叔母さんは叔母さんで 1人取り残されている叔父さんの相手をしていた。
が、どことなく不機嫌そうではあった。
結局、叔母さんの目の前で 豊川さんと 電話番号の交換をした。
『ゴメンね健ちゃん、健ちゃんだけ烏龍茶なんて、私達だけ飲んじゃって』
『健ちゃんにはさ、後でまとめてお礼するから許して、ね?』
と、気遣ってくれる豊川さんに
『良いのよお礼なんて』
『ビールだって帰ってから飲めば、ツマミ位は作ってあげるから』と、
やっぱり叔母さんは虫の居所が悪いらしい。
『そんな訳には行かないわ』
『寿子ちゃんには寿子ちゃんで ちゃんとお礼するからさ』
『おツマミだって お刺身頼んだから 持って帰って、ね?健ちゃん』
豊川さんは そう言って 俺の腿をトントンと軽く叩いた。
「はい、じゃぁ遠慮なく‥」
俺はそう答えて頭を下げた。
それが素ななか計算なのか、その後も豊川さんは 会話の度 事ある毎に 何かと俺に触れてくる。
俺は足を広げて 膝を豊川さんの膝のあたりに くっ付けてみた。
案の定 豊川さんは逃げようとは しない。
逆に スリスリと膝で撫で返してくる。
叔母さんと 何号室の誰がどうとか 何号棟の誰それがどうとか そんな話しを何食わぬ顔で話しながらも スリスリは終わる事がない。
それどころか 自らの足を絡めて 俺の足を両方の足の間に挟んでしまった。
そして 俺とは反対側の左手で 触るか触らないか 微妙なタッチで撫でてさえくる。
叔母さんよりも幾つか歳上 50前後といったところか?、年齢なりの身体つきに見えた、どんな下着を付けているのか 胸もお尻もボリュームのある それなりの形をしていた。
きっと脱がしたら凄いんだろうな?、そんな事を想像し、ビールが手伝ったのか 大胆な豊川さんに 多いに期待をした。
『あんまり派手な事しちゃダメだよ、京子さんには旦那も子供も居るんだし、小林さんだって そうなんじゃないの?、修羅場になるよ 下手したら‥』
家に帰ると 叔母さんに そう釘を刺された。
が、翌日 10:00を回った頃だったろうか?、
『お礼をしたい、時間を作って欲しい、寿子ちゃんには内緒で‥』と、豊川さんから電話があった。
『夕方 三○に行く時に教えて欲しい』と。
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