「部長、山田さんの歓迎会なんですけど、来週の火曜日の夜に事務所だけでやりません?それなら4人だし、受けてくれるお店もあるからダメですか?」
「そうだな、こんなご時世で現場の人達には申し訳ないけど、俺は大丈夫だよ」
「杉田さんは、一次会だけですって、二次会あたし達3人でお願いしますね」
「いいけど、山田さんは大丈夫なの?」
「たまたま旦那さんが出張で居ないそうですよ、ふふっ」
「なんだよ、意味ありげに」
「チャンスでしょ、ちょっとこっち来てもらえます?」
直美がほくそ笑みながら手招きした。
事務所のドアから廊下に出て、ひと気がないことを確認してから、俺の耳元に手を当てて
「山田さん口説きたくないの?」
「バカ、いきなりそんなことするかよ」
「なら、あたしを抱いてよ」
「旦那さんと娘さん大丈夫なの、平日だろ?」
「飲み会だって言えば、旦那の実家近いからそっちに二人とも泊まるから平気よ」
「山田さんの家って、履歴書見たらうちらの隣の町内だったよな」
「あら、ちゃんとチェックしてますね、先に送り返せばいいでしょ、部長は運転手よ」
「まあ、山田さん次第ってことだな」
「あれぇ、ほんとは狙ってるんでしょ」
「ははは、疑り深いなぁ、何なら二人同時でも平気だよ」
「ひゃあ、まあ部長ならそうかもね、タフだし」
「で、結局どうする?」
「その場の空気次第でいいでしょ」
「何、その答え方」
「あたし両刀使いなの」
「えっ、そうなの?人は見かけによらないね」
「部長だからカミングアウトしたのよ、秘密だからねっ」
「わかってるよ」
ひと気の無いの廊下で、軽く直美のヒップを撫でて仕事に戻るように促した。
「ふふふ、楽しみねぇ」
直美はウキウキした顔をしていた。
俺はあらぬ妄想をしていた。
二人とも同時に思い通りに調教してやろうと。
現実には無理だとわかっているが、S気質の俺は嫁も含めて付き合った女が偶然なのかMだった。
子供が物心付き出してからはセックスレスに近く、単身赴任してからはご無沙汰だった。
直美との一夜があってから、眠っていた俺の欲望が目を覚まし、日に日に高まっていた。
歓迎会当日、俺は落ち着かなかった。
直美とだけならこうしよう、二人一緒ならどうする。と頭の中は二次会後のことばかり巡って、仕事も手に付かない調子だった。
それを見透かしたように、仕事が終わると直美が
「山田さん、家まで部長の車で迎えに行くから待っててね」
「部長、すみませんがよろしくお願いします」
「こんな時に飲めない人って助かるわよね、安心して飲めるから」
「山田さんの歓迎会だから、心置き無く飲んで下さい、俺は慣れっこだから気にしないでいいよ」
「山田さん、焼き肉だから臭いが付いても気にならない服着てきた方がいいよ」
「はい、そうします」
「杉田さんは、急に行けなくなったって。三人だけになっちゃう分、たくさん食べて飲もうね」
「あら、いいのかしら、嬉しいよな、、、」
直美が仕組んだんだと思った。
杉田さんは、事務パートで会社の飲み会とかは元々参加したがらない人だ。
当日になってドタキャンっていうことにしただけだ。元々行かないに決まってる。
「直美ちゃん、何時開始?」
「うちに6時に来て下さい、山田さんを乗せて6時半開始ですよ」
「だそうだ山田さん」
「部長に送り迎えなんて、すみません」
「気にしなくていいから、楽な格好で来てね」
「何で直美ちゃんが言うかな、まあいいけど」
一旦帰宅して、シャワーを浴びて着替えると6時近く。使うか使わないか分からないが、車のダッシュボードにはおもちゃを入れておく。
自宅に隠しておいて子供に見つかると嫌だからと、嫁がアパートへ持っていくようにと言われていた。
今日は最低でも直美をこれでいたぶってやろうと決めていた。
直美を迎えに行くと、メスの雰囲気を醸し出すような、胸元の大きく空いたタンクトップとアロハシャツ、太ももというか股間ギリギリのみじかいデニムのパンツ。タンクトップもパット付きタイプ。
助手席に乗り込むと
「これなら、いつでもどこでもしてくれるてましょ」
「そうだね」
いきなり直美の胸を鷲掴みにしてやる。
嫌がるどころか、その手を強く握って
「ねえ、もう濡れてるよ」
「お楽しみはあとに取っておく、歓迎会はしないとな」
「酔っぱらったら、部長より先にあたしが山田さん口説いちゃおうかなっ」
「好きにしていいよ、山田さんの様子も見てみたいからな」
そんな企てがあるとも知らず、山田さんが直美の後の座席に乗り込んできた。
「高木町の個室のある焼肉屋さんよ、部長知ってます?」
「ああ、そこなら何度か行ったことがあるから」
「山田さん、邪魔する人もいないし、思いっきり食べて飲もうね」
「はい、楽しみです」
慶子の服装をルームミラーでチラチラ見る。
紺色の無地のTシャツに膝丈より短かいフレアスカート。白い肌を強調していた。
店に着いて個室に通されると直美が
「生ビール2つとコーラ、あとはお願いしてあったメニューをどんどん持ってきて」
「かしこまりました」
店員が聞く前にさっさとオーダーして、おしぼりをおきながら
「山田さんそこじゃなくて、あたしの隣に来たら」
「あっごめんなさい」
大きなテーブルだった。俺の左斜め前に直美が座り、慶子は更にその左に座ったのだ。
直美が俺の正面に座るように気を使った。
「面接の時以来かな山田さんを正面から見るの」
「恥ずかしいてますよ、素敵なポロシャツですね、奥さんの見立てですか?」
「ああ、これ?そうだよ」
「センスいいですね」
「山田さんこそ、仕事の時とはイメージが違って、大人の女って感じだね」
「あたしはぁ?」
「正直めのやり場に困るかな、それより飲み物まだかな」
「うわぁ、話そらしたわね、部長って可愛いとこあるでしょ」
慶子に同意を求める直美。
「ふふふ、仲がいいですね」
「違うわよ、山田さん、慶子ちゃんでいいかな?あたし達出来てるのよ」
「えっ、そうなんですか?ふ、不倫、ですか?」
「それも違うわ」
「乾杯もしてないのに、何を言い出すんだよ、山田さん誤解しちゃうだろ」
「あっ、来た来た、新しい仲間に乾杯」
直美のペースに嵌められたふりをしながら、慶子の反応を観察する。
「直美さん、さっきの話、どう言うことなんですか?」
「知りたい?」
「なんか意味ありげに言うから、気になっちゃった」
「教えてあげるけど、慶子ちゃんて部長のことどう思う?」
「どうって、優しいけど仕事には厳しそうな方で、真面目な生き方の紳士って感じます」
「でしょ、でもねそれは表の顔で、本当はただのスケベなオジサンなの」
「こらこら、そんな言い方あるか、まるで二重人格みたいじゃないか」
「あら、ごめんなさい、でもある意味当たってるでしょ、今朝もあたしのお尻触ったくせに」
「何でそんなことばらすかな」
「ね、スケベなオヤジでしょ」
「ウソでしょ、部長がそんな方だなんて」
「誤解しないでね、あたしがそうさせたの」
「えっ、意味が分からない」
「あたし達は、セ、フ、レ関係なの。恋愛感情はないとは言えないけど、身体の関係」
「割り切りってことですか?」
「そうね、慶子ちゃんは旦那さんと夜の生活はちゃんとしてるの?」
「え、そ、それは、あの、、、」
「ラブラブじゃあ無さそうね」
「、、、」
「いきなりそんなこと聞かれて、答えられないよな」
「旦那さんがゲイだとか、慶子ちゃんがリバだとか?」
「、、、まあ、かろうじて夫婦ってとこです」
「やっぱりね、どっちなの?」
「両方って言うのが正解かも」
「セックスの相性が合わないの?」
「やだ。あたし何いってるんだろ、恥ずかしい」
「ここまで話したら、いっちゃいなよ」
「、、、二人ともリバなんです」
「で、どれくらいしてないの?」
「旦那とはもう10年以上かな」
「じゃ、もう片方は?」
「それも5年はないです」
「実はね、あたしも昔からリバなのよ」
急に直美から言われた慶子の顔が赤らんだ。
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