続:寿子③
翌朝、駐車場のミニバンの前に2台の車が現れた、降りてきたのは店長と小林さん。
店長は 形どおりの挨拶のあと そそくさと査定をはじめた、このあと行く所が有るのだと。
車は他にジム○ーも検討している事。
このあと SUZ○KIにも行くつもりで居る事。
経済性機動性を考え その2つに絞った事。
などなどを小林さんと 査定を終えた店長にも伝えた。
『肝心のPミニのお見積もりがまだ‥』
『是非ご来店頂き その辺りのお話しをさせて頂きたいのですが』
と、しきりに小林さんが誘っている。
既にSUZ○KIと約束が有る事。
仕事用はミニバンを下取りに‥、メル○デスは叔父さんの乗り降りを優先に‥、それぞれ独立して考えている事、下取り2台でいくら 新車2台がいくら なので この金額、そうは考えていない事。
ジム○ーになってしまうかもしれないし、メル○デスの代わりにエスティ○やセレ○といった他社のミニバンになってしまうかもしれない事 その辺りの念を押して、ありもしないSUZ○KIとの約束を理由に その場は別れた。
その日の夜 叔父さんと叔母さん 3人で夕飯を食べている時に 着信があった、名前は三○自動車、小林さんだった。
『是非、ご来店を‥』との電話だった。
「明日の この時間なら伺えますが」
そう伝えると 暫く間があって
『19:00でよろしいでしょうか?』
『お待ち申し上げます』
と、誰かに時間の確認をした そんな様子だった、確か店は19:00までのはずだが。
『誰?』
「ん、三○の人、見積もりさせてくれって」
『女の人の声だったけど‥』
「そうだよ、小林さんて女の人‥」
『何か怪しい、普通 男の人でしょ?車の営業って、さては何か変なコト考えてるな健ちゃん、そうでしょ?』
「んな訳ないでしょ、叔母さんより ずっと年上っぽいしさぁ」
『あれ?、一回り以上も上の私に筆おろしさせたのは 何処の誰でしたっけ?』
叔母さんは 叔父さんの前でも 平気で そんな事を言ってのける、そう 叔父さんは耳が不自由 俺達の会話は聞き取れない。
俺が一緒に住む様になって安心したのか 何かが緩んだのか 最近の叔母さんは 叔父さんが目の前にいるのに 平気でそんな事を言うようになっていた。
が、それよりも気になる事が 今は有った。
それは『変なコト考えてない?』と言う 叔母さんの一言だった。
俗に言う〔保険のオバさんの枕営業〕的な事は 聞いた事はある、が、車屋さんで‥?、そんな事があるのだろうか?。
上流階級のご婦人が 若い営業マンと 購入をエサに‥、なんて話しは 何処ぞの小説でも エロビデオでも 昼メロと呼ばれたTVドラマでも見た事はある、が、その逆は有るのだろうか?、その事ばかりが気になっていた。
暫くして 叔父さんが お風呂に行った。
それを見送ると『さて、片付けるか‥』と、叔母さんもキッチンに向かった。
タバコを消して 叔母さんの後を追った。
「ありもしない事想像してる?叔母さん」
背中から 手を回し 耳元で そう聞いた。
叔母さんは 何も答えない。
「そうなったら そうなったで ちゃんと教えるから 叔母さんには‥、ね?」
『ホントよ、ちゃんと教えてね』
叔母さんが 少し寂しそうに 言った。
「大丈夫、ちゃんと教えるから」
そう言いながらも 腰を抱いた手は上を目指した、少しずつ焦らしながら 叔母さんの胸を。
指先が乳首を探り当て 叔母さんが一瞬ビクッとなった。
俺は わざと そこで叔母さんから離れた。
「健ちゃん、疲れたでしょ?」
「何度も何度も往復して」
「ウチの片付けまで やって貰って」
「私は何も手伝えなくて‥」
「本当に ありがとう‥」
「疲れたでしょう、ありがとう」
と、お風呂から出てきた叔父さんは しきりに俺を労ってくれた。
『お背中でも お流ししましょうか?』
『お疲れ ですものね?』
と、叔母さんが 意味ありげに笑っている。
『そうだ!』と、メモ帳に何か書きはじめた。
そして そのメモを叔父さんに見せている。
「そうだね、寿子さん」
「それが良い、そうしてあげて下さい」
と、叔父さんも笑っている。
そのメモを俺に見せた叔父さん
「健ちゃん 疲れてるから 背中 流してあげる、どうですか?、お礼に」
そう、書かれていた。
甥とはいえ 自分の妻が男性の背中を流す そう書かれているメモを見て ニッコリと笑いながら同意をしている。
俺の頭は???で一杯だった。
風呂に入って暫くすると
『健ちゃん、良いい?、開けるよ』
と、叔母さんの声がした。
まずは背中を流し 俺を立たせて腿と脛を洗い 前を向かせて身体を洗い また椅子に座らせ足を洗った。
そして『そこは自分で洗って』と、さっきのお返しと言わんばかりに ナイロンのタオルを俺に渡して 叔母さんは出て行ってしまった。
〔‥やられた〕、ベッドに転がり 天井を見上げながら さっきの叔母さんの態度に そんな事を思った。
悶々としていた。
さっきの 叔母さんの仕返しもさる事ながら、叔父さんが意外にもOKした理由、叔母さんが言った 小林さんとの〔変なコト〕、色んな事が頭の中をグルグルと回った。
〔小林さんが枕営業?〕、頭の中では否定しつつも、身体は確かに それを期待している。
アレやコレや‥、やがて俺は どう そんな風に仕向けようか‥、新車2台‥ その歩合は幾らなのか? それが魅力的な金額ならあり得ない話しではないかもしれない、が何処のディーラーも営業は男性が主だ 店長には小林さんとしか話しをしない そうは言ったものの‥‥、そんな事ばかりを考え始めていた。
〔小林さんと‥〕、期待ばかりが膨らんで なかなか寝付けない夜だった。
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