真希さんは助手席から私を振り返ったまま、たくさんの事を聞いていった。
私は後部座席の真ん中に座り、その目を見つめながらたくさんの事を答えた。
そのうち、私の口からは堰を切ったように次々と言葉が溢れていった。
大きな胸を、コンプレックスに感じている事。
内気だと言われながら育ったし、自分でも内向的だと思ってる事。
クラスメートとすら、話すのが苦手に感じる事。
自分を変えたいと思っている事。
けれど、どうしたらいいのかさえ分からない事。
誕生日が12月だから、まだ15歳な事。
男性経験どころか、クラスメートが話している体験談すら恥ずかしくて逃げてしまう事。
何かが変わるかと思って、思い切ってアルバイトを始めた事。
歳の離れた大人しかいない職場を選んだのに、その人達からも結局逃げてる事。
いつのまにか自分の感じている全てを正直に話していた。
それほど、真希さんの声は優しく甘かった。
どれくらい話しただろうか・・・真希さんが私に話しかけた。
「ごめんね・・・もっと聞いてあげたいけど、そろそろ時間なの・・・」
それが何を意味するのか、一瞬で理解した。
さっきまでの優しい笑顔に、ほんのりと熱がこもっているように感じた。
ダッシュボードのデジタル時計は、12時12分を指していた。
真希さんの目は私の後ろ・・・ガラスの向こうを、見つめていた。
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