次の日の事務所は異様な雰囲気だった。
所長が終日いないと全員が知っている事が、その雰囲気を露骨にさせていた。
吉田は、8時40分に出社してから、ずっと憂鬱な顔をしていた。
勤務時間である9時の1分前に出社した三浦は、それとは反対にずっと上機嫌だった。
浜口は、そんな二人の顔を見比べては 少し困ったような顔をしていた。
10時から勤務する由美が、そんな3人のいる事務所に来たのは9時48分だった。
タイムカードを押しながら、雰囲気の異常さには気づいていたが、どうする事もできるはずがない。
由美は いつものように自分の席に鞄を置いた。
「・・・おい、由美」
椅子に座ろうとする由美を三浦が呼んだ。
三浦はニヤニヤと笑いながら由美を睨んでいた。
由美はその目を見てすぐに、自分が何を求められているのかを理解した。
けれどさすがに戸惑いの表情を浮かべて視線を逸らした。
「・・・・どうした?ほら、さっさとしろよ」
そんな由美を、三浦は催促した。
「おい三浦・・・お前、こんな場所で・・・」
浜口は、困ったような声で言った。
その視線の先を、由美が三浦に向かって歩いていった。
吉田の前を通ったが、由美の視線は一度も吉田には向けられなかった。
「マジかよ・・・今からかよ・・・・」
そんな浜口の声が聞こえる中、由美は三浦の前にゆっくりと跪いた。
白い指が三浦のベルトをカチャカチャと鳴らしながら外していった。
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