それぞれの思惑の中食事会が始まる。
会といっても私と草刈の2人が神楽さんや高円寺さんの給仕での食事だ。
2人には大き過ぎるテーブルで、今や料理も神楽さんが賄っていた。
あえて豪勢ではない質素だけど、手の込んだ料理であった。
たくみ) 結局、お世話を掛けちゃいましたね・・・
しかし、この若鳥のクリーム煮なんか、本職でもびっくりですよ。
どの料理も見た目は質素だけど、キチンと手が込んでいる・・・おいしいですよ。
さなえ) ありがとうございます、神楽さんが今は料理もしてくれているの・・・。
夫が亡くなって、最小限の方に残って頂いているの。
(少し目線を伏せながら・・・・)
私1人ではこの屋敷も維持することも出来はしないから・・・。
草刈の企みなど今の私に気付く筈もなかった、心細さからくるものだろうと私は
思っていたからだった。
表向き穏やかに食事は終わった・・・。
私の草刈を見る時の胸のざわつきは何なのだろう・・・。
夫が見せる、あのドアの向こうでの雰囲気・・・、あの時の感覚に似ている・・・。
同じ匂いを感じる気かしたのだった。
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