叔母:寿子⑦
遅めの昼食を摂り、デパートやアメ横を見て周った。
俺がリクエストしたのはスニーカー。
叔母さんは やたらと派手なバスケットシューズを選んで進めてくる。
またバスケをやるもんだと思い込んでる叔母さん、結局押し切られて それにした。
雑貨屋さん 小物屋さん、叔母さんはハシャギながらアッチコッチと見て回る。
紳士小物の店で足を止めた叔母さん。
『健ちゃん お財布出してごらん』
俺は デニム地の少しほつれた財布を見せた。
『うーん??』
『中学生らしいって言えば そうかもしれないけど これは頂けないなぁ』
『これからは小銭は別に持ちなさい、ね?』
叔母さんが選んだのは 2つ折りの札入れと馬蹄型という小銭入れのセット。
さっきの叔母さんとの事といい 革の財布といい、叔母さんが〔甥っ子〕ではなく〔男〕として認めてくれた そんな風に錯覚した。
「夕飯までには帰る」と言ってきたが 少し押してしまった。
俺たちの顔をみるなり『お昼 何食べた?』
と、聞いてくる母。
『スパゲティ、美味しかったよね健ちゃん?』
叔母さんのその答えを聞いて 母が何処かに電話を掛けた。
今夜は珍しく父親も一緒の夕飯。
テーブルには さっき電話で頼んだのだろう、お寿司とお刺身がならんでいた。
今夜は いつになく豪華だ。
大人3人は 上機嫌で酒を酌み交わしている。
俺は一足先に部屋に戻ってTVをつけた。
が、ただ ついてるだけ すぐに消した。
布団を敷き、ベッドに転がった。
台所では 大人たちの笑い声がする。
風呂を済ませて またベッドに転がった。
大人たちは 相変わらず ペチャクチャと話し続けて笑っていた。
叔母さんは いつまでたっても来やしない。
〔もういいや‥〕と布団にもぐった。
うとうと していた。
どの位経っただろう?ノックが聞こえた。
『お風呂 行くね』
と、叔母さんは また 出て行ってしまった。
目が冴えてきた。
叔母さんが戻るまで どれ程長かったことか。
『健ちゃん?』『寝ちゃった?』、途切れ途切れに話しかけてくる叔母さん、きっとベッドに腰かけ お手入れでもしているのだろう、背中を向けた俺には分からない。
『健ちゃん?』
『起きてる?』
『こっち向いて』
俺は意を決っして、ムクッと起き上がり 叔母さんの隣に座って 抱きついた。
『ダメ、夜はダメ』
『分かるでしょ?』
『もし聞こえちゃったら大変な事になるわ』
『‥ね?』
俺の考える事など お見通しの叔母さんに そう嗜められ 俺は また 布団に潜りこんだ。
『ゴメンね』
『おやすみ』
蚊のなく様な小さな声で『おやすみ』と 痩せ我慢をしながら返した。
翌朝、台所に出るも叔母さんの姿はない。
『あら珍しい』
『おはよ』
流し台に向かう母が 背中ごしに‥。
「叔母さんは?」
『ん?、居ない?』
『トイレでも行ってんじゃないの?』
洗面所にも居なかったし トイレの前にスリッパもなかった。〔何処?〕そう思いながらも「そう」と惚けた。
ガチャっと勝手口があいた。
『寿子、何処行ってたの?』
『ん?、朝の散歩』
『叔母さんは?叔母さんは?、って この子ったら、気があんじゃないの?あんたに』
『嬉しい!、健ちゃんなら何でも聞いてあげちゃう、なになに?、何でも言って』
『ちょっと寿子!』
『そういう所よ 誤解されるの、ケンだから良い様なものの‥』
『気をつけなさい!』
今朝は叔母さんが叱られていた。
『はぁい』
と言いながら俺を見て また 片目を瞑ってみせた。
『手伝うわ‥』
と、母の隣に並んだ叔母さん。
セーターで少し隠れた Gパンのお尻が 不思議な事に透けて見える、振り返れば〔繁み〕までも‥、そんな事 あるバスも無いのに‥。
昨日 初めて見た 白いお尻と黒い繁みが 叔母さんに重なる。
俺は かなり重症なようだ。
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