ガン・・・ガコッ・・・
扉が開くと、目の前には真っ暗な廊下が続いていた。
等間隔に並ぶ会議室の扉を、エレベーターの中の光だけが照らしていた。
浜崎がエレベーターを降りる。
また音を立てて扉が閉まると、周りは真っ暗になった。
(・・・こんな時間に会議室のフロア・・・何もない・・・いや、あるはずがない・・・・・・・・ん?)
浜崎は 落胆して初めて、自分が何かを期待していたのだと気づいた。
そして、エレベータのボタンに指を伸ばそうとした瞬間、廊下の奥・・・・会議室の扉の1つから、うっすらと光が漏れているのに気付いた。
それは、社員なら誰もが知っている、ほとんど使われない会議室の扉だった。
他の会議室で余った長テーブルや パイプ椅子を入れておく倉庫のような扱いになっている。
その扉に、浜崎はゆっくりと近づいていった。
無意識に 足音を忍ばせていた。
鼻から吐く息が熱くなっていた。
顔中から、さっきまでとは違う理由の汗を噴き出していた。
そして、ゆっくりと・・・
音を立てないように静かに・・・
オフィスよりも簡易な作りになっている、小さな鍵穴に目を押し付けていった。
※元投稿はこちら >>