次の日、俺が目覚めた時には もう後輩は居なかった。
昨夜の光景が嘘のように、テーブルの上まで全てが片付けられていた。
ただ、ズボンの中・・・下着の中で乾いた精液だけが、アレが真実だと物語っていた。
キッチンから、水の音が聞こえていた。
俺はわざとノソノソと歩き、近づいた。
頭を掻きながら、出来るだけ気怠そうな声を作り、妻に話しかけた。
「あ・・・おはよう・・・」
妻は俺を振り返らず、水の音をさせながら答える。
「何が「おはよう」よ、もうお昼過ぎたわよ?」
いつもと同じようなセリフ・・・けれど、いつもよりも少し不自然に強張った声だった。
「・・・あ・・・その・・・・・・健二は?」
他に話題が見つけられず、俺は後輩の名前を口にした。
そして、その名を声にした瞬間に、自分の中で緊張が高まるのを感じた。
「・・・帰ったわよ・・・・・・お・・・覚えてないの?昨日、あの後すぐに帰ったわよ」
・・・嘘だ・・・そう直感するのに充分な動揺が伝わってきた。
緊張と背徳・・・いろんな感情が、その声に混じっているのを感じた。
けれど俺は、そんな妻の言葉を・・・嘘を、そのまま受け入れた。
「・・・そうか」
そう言って、まだ寝ぼけているフリをしながら、興奮にカッカしている意識のまま、寝室に逃げた。
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