叔母:寿子②
「あっ、いらっしゃい」と頭を下げた俺に
『なに健ちゃん、また背が伸びたんじゃないの?、どれどれ?』
と、抱きつかんばかりの勢いで背を比べてくる。
実際 高校の身体測定では 更に4㎝程伸びて180を超えていた。
俺を見上げる叔母さん。
母からもクラスの女子からもした事のない 何とも言えない良い香りがしてくる。
〔大人の女性って こんな良い匂いがするんだぁ?〕
そんな事を思っていた。
当時の我が家は2DK ひら家の賃貸。
2つの部屋の間に広めの台所、その台所側にそれぞれの押し入れが有り、そのおかげで互いのプライバシーは保たれていた様に思う。
横に長い家 脱衣所も広く やたらと収納だけは多い家だった。
2DK、当然部屋は2つ。
叔母さんは俺の部屋に泊まる。
夕食時に そう決まった。
やけに顔が熱い、きっと真っ赤な顔をしていたんだろう。心臓もバコバコしてる。
おチャメ、そんな言い方を今もするのだろうか?。
おチャメで屈託のない笑顔。
150にも満たない身長。
夏ともなれば全てがプリッとしていた。
そんな叔母さんが俺は大好きだった。
が、歳を重ねるごとに 大好きの種類が変わりつつある自覚も有った。
夕食後 叔母さんは父親と何やら話しをしていた。
母は洗い物をしている。
『ケン、お布団しいといて、押し入れに入ってるから』
と言っている。
『ねぇケン、聞いてる?』
「ああ、しいとく」
押し入れから布団を引っ張り出した。セミダブルのベッド 机 ラジカセを乗せてるカラーボックスに整理箪笥。
部屋の真ん中で布団が窮屈そうにしていた。
俺が風呂からでるも 3人はまだ何やら話してる様子だった。
部屋に戻り ラジオのスイッチを入れた。
が、3人の様子が気になってラジオの声など入って来ない。
ベッドは叔母さんに明け渡し 俺は布団に潜り込んだ。
時計の針がテッペンを過ぎたのは覚えている。が、叔母さんは来ない。
俺は いつのまにか寝てしまった。
朝起きると ベッドの布団は綺麗に畳まれていた。
叔母さんの姿はない。
台所にでると「おはよう、ケンちゃん」
叔母さんが朝食の用意をしてくれていた。
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